viva cinema

「イタリア旅行」の憂鬱

BeauMale
2011.9.2

前の日は明るくおおらかな「ゲームの規則」を観たので昨晩はその反対の憂鬱な映画を観ることにした.ロッセリーニがアメリカでヒッチコックの女優でこれから何本もきっと撮ろうと思っていたイングリッド・バーグマンで撮った、三本の作品、「ストロンボリ (1949)」、「イタリア旅行 (1953)」、「不安 (1954)」三本とも相思相愛で浚ってきたバーグマンをヒッチコックの「汚名」のように美しく撮らないのだろうかと思うが、三本ともバーグマンの顔には憂鬱の鬱の文字が刻まれているように見えるほどに、いつも苛立ち不安そうな顔をしている.その真ん中の作品「イタリア旅行」を観た.

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イギリス人の夫婦が伯父の残したナポリの別荘にそこを処分するために来たという話である.バーグマンはしょっちゅう夫に不満を漏らし、夫もそれに軽く応えるがちょこっと漏らす皮肉が彼女をますます苛立たせる.上の写真も、テラスに出ればナポリ湾とヴェスヴィオす火山が望まれポンペイも直ぐ丘の向こうだという白亜作りの美しい別荘で喧嘩をしたばかりである.

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イタリアの室内というのはどんな映画も映画になる壁が後ろにあってと思ってみていたら三面鏡で化粧をしたバーグマンがするすると扉から出て向こうの部屋の外に出る.

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「ストロンボリ」でもそうであるが、ロッセリーニは煙の中の彼女を撮りたくてしかたがなと思ってしまう一シーンで、ヴェスヴィオスの麓の地獄谷で、硫黄の煙に包まれているところだが、何故かバーグマンは一人で毎日観光をして、博物館やカタコンベやと観光名所を巡り、夫への不満を口にする.

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実は浮気とまでは行かないが、好意を持つ女性が夫にも出来てそんなときに、妻からぐちゅぐちゅ云われて遂に離婚だと言い放った瞬間に、別荘の管理の傍ら考古学をしてポンペイ遺跡を発掘している男が、今日は二人に良いものを見せると声が掛かり、最悪な状態に掛かった声に驚き振り返ったところである.二人ともの何ともとも言えない表情は可笑しかった.考古学者に導かれていったポンペイは今しも、人体が発掘されるところで、石膏化した人体が二体掘り起こされきっと夫婦が最後の瞬間抱き合っている所だとの考古学者の言葉にバーグマンは泣き出してしまい、逃げ帰り後を追う夫と車に乗るが祭りの雑踏に飲み込まれて、車から出て別れ別れになった二人はまた出会って元の鞘に戻るという変な話の映画である.

ロッセリーニの「ストロンボリ」も設定は違うが妻のバーグマンの憂鬱な映画で、その翌年には「神の道化師、フランチェスコ (1950)」というかなり喜劇的な作品を撮っていて変な監督である.「無防備都市 (1945)」、「戦火のかなた (1946)」、「ドイツ零年 (1948)」とシリアスな映画の続いた後は「殺人キャメラ (1948)」という喜劇である.

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