viva cinema

ジャ・ジャンクー「青の稲妻」の素晴らしいシーン

BeauMale
2011.10.9

この映画を映画好きの友人と一緒に見て随所に観られる素晴らしい画面の一つがこれである.この画面については前にも指摘した.主人公と恋人との最後の逢瀬の場面でその前に何度も会う場面はいつでもカラオケボックスのような TV が置いてあるだけの個室で長椅子に二人は並んで座るのだが、それを友人は小津安二郎だという.この画面はふたりが向き合って座る.彼から彼女に携帯電話をプレゼントすると彼女は彼に今後はすぐ連絡ができると喜びを示すが、彼は突慳貪に今後はないと云う.彼女はこっちに来てくれと頼むが彼はなぜだと云って動こうとしない.

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たまりかねた彼女の方から彼の隣に移って貰った携帯の箱を抱えて突っ伏して彼の方を向いてキスをしてくれと頼むが彼は嫌だと素気ない応え.もう行こうと一人称複数形で彼女が云うが彼は口を噤んだままである.

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もう一度彼女が同じ一人称複数形を繰り返すが彼からの応答はなく、彼女は大事そうにプレゼンとの箱を持って立ち上がる.

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彼は一人り残されたが彼女の行った方向にちらりと視線を向けるものの何の感情も示さない.この画面が割と長いので友人に次にどうなるかと訊いたが、とても解るものではない.筆者も初めて観たときは驚かされたのである.

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キャメラがロングに引くと右手の入口の外で彼女が自転車に乗るところが見得る.ここ迄は想像できるだろう.

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しかし驚きは次である.彼女は自転車に乗って建物の中にゆっくり入って来るのである.

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そして彼の前あたりで自転車を止めて、彼の方を見る.彼は知らんぷりで言葉も視線も交わされない.この先どうなるのかわからない.

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諦めた彼女は改めて自転車に乗って奥に向かって進んで行くと、キャメラはなおも引いてこのロングが素晴らしい.ほぼ立ての構図になって建物を支えるアーチが見える.友人はこれはヨーロッパ映画だと感心する.ずっと奥に進んでどうするのかと思っているとゆっくり進む自転車はユーターンを始めるではないか.

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そしてこちらに向かって戻ってくるとまたユーターンをして、さっきと同じに彼の前で止まって同じことを反復するのである.この画面の素晴らしさが解らない人は映画など見ないほうが良い.

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もう一つ問題だったのはこれも前に指摘した、弟分と彼の恋人の喫茶店で向き合って座る場面を真横から映して二人の会話を切り返しで映しているところである.この切り返しがいかにもぶっきら棒で不自然なのである.これはどう撮っていると思うかを友人に訊いてみた.筆者は横移動だと思うがというと、こんな早い横移動はできないからパンだという.パンであるにしてもピタリと止まることなど出来るのかなと云う.

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このシーンを終えるとき左に移動して行って喫茶店の他の席が映され別の画面にカットされる.そこでそこのところをスローで見たら後ろの窓枠の線がずっと合っている.半円形にセットを作ってその円にそって回転しているのではないかということになった.

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