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ルイス・ブニュエル「哀しみのトリスターナ」

BeauMale
2012.7.12

ルイス・ブニュエル(Luis Buñuel)の「哀しみのトリスターナ TRISTANA (1970)」である.ブニュエルは詩人のロルカや画家のサルバドール・ダリとは学校友達であるが、彼の自伝ではダリのことを彼奴は馬鹿だを繰り返している.Wikipedia Wikipedia - ルイス・ブニュエル には割と長い記事が載っている.ブニュエルの映画は割と沢山観ている.最初に観たのは、「ビリディアナ (1960)」次いで「小間使の日記 (1963)」、そして「昼顔 (1967)」、「ブルジョワジーの秘かな愉しみ (1972)」、「欲望のあいまいな対象 (1977)」と観て、初めて観た「ビリディア」や「小間使の日記 」や「昼顔」は非常に性的であるし何か居心地の悪さを感じながら観ていた.併し、「ブルジョワジーの秘かな愉しみ 」や「欲望のあいまいな対象」となると抱腹絶倒で居心地の悪さなど感じなくなっていた.

それらと前後してどちらが先だったかいやメキシコ時代の方がもっと後だと思うが、バブルの時代にメキシコ時代のブニュエルの映画の特集にせっせと通ったが「忘れられた人々 (1950)」のような社会派的な作品や「スサーナ(1950)」や「昇天峠(1951)」や「愛なき女(1951)」や「乱暴者(1952)」や「エル (1952)」や、これはその時に観たのではないと思うが「嵐が丘 (1953)」等々今となっては題名を観てその時観たかどうか思い出せない、どんな映画でもひょいひょい作るしたたかと云って良いブニュエルを知ってからは、「アンダルシアの犬 (1928)」の眼球を剃刀で切り裂こうと驚かなくなった.

「哀しみのトリスターナ」についてトリュフォーのヒッチコックへのインタビュー「ヒッチコック映画術トリュフォー」には、

数年前、ルイス・ブニュエルの「哀しみのトリスターナ」を見て、カトリーヌ・ドヌーヴの義足に目をみはった---ヒッチコック映画のブロンドの美女たちに義足をつけさせなかったことを悔やんでいるかのように!

とある、フランス一の美人女優のカトリーヌ・ドヌーヴが義足を付けて出てくるという衝撃的な映画でもある.この「トリスターナ」はいつ観たか憶えてないがアーサー・ペンが「冬の嵐(1987)」で女主人公の指を切り落とすのは許せないのにブニュエルが美女の片足を切り取ってもありだという風になっていた.同じカトリーヌ・ヌーヴが演していた「昼顔(1967)」の居心地の悪さはもう感じなかった.併しブニュエルの映画を語るというのは捕まえどころがなくて難しい.以下は一体何を観たかを綴るだけである.

YouTube - Tristana - Trailer - Catherine Deneuve - Luis Bunuel


これが最初のシーン.黒づくめの女性二人が歩んでくるが、この時のキャメラは手持ちなのかキャメラも近づいていく.その動きが非常に奇妙に感じる.

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二人の一人はトリスターナ(カトリーヌ・ドヌーヴ)である.この時未だ十代半ばの女性という設定である.もう一人はサトゥルナ(ローラ・ガオス)である.

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二人が立ち止まる先は男の子ばかりの学校の生徒が同じ服装で何かに興じている.

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サッカーをやっているようなのであるがなんだか不自然で動きが変である.その中の一人が他の子を転ばせてしまった.

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その転ばせた男の子はサトゥルナの息子らしくまただと彼女はあきれ顔である.

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右側の転ばせた男の子に転んだ子が文句を言うのであるがそれが手話なので不自然に見えたサッカーは聾唖学校の生徒達によるものと解る.二人が取っ組み合いを始めたので教師が転ばせた方の男の子を捕まえてお前の耳を切ってやろうか、どうせ用のないものだとかなり非道い事をいって彼を母親の所に連れてくる.この子は出来はよいのだが何しろ怠け者で集中力がないと母親に云うと、父親に似たのだと母親.そしてカトリーヌ・ドヌーヴをドン・ロペの養女だと紹介する.ドン・ロペ(フェルナンド・レイ)は彼女の仕えている主人であるが、養女のドヌーヴに手を出すのはもう少し後の話.

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カトリーヌ・ドヌーヴは二人から離れてさっき怒られた男の子を呼び手話で優しく話をする.

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トリスターナの養父となるドン・ロペ(フェルディナンド・レイ)はこの男である.年金暮らしをする没落貴族であるがなかなかの伊達男である.

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彼は女と見れば直ぐに手を出す.この日も女性に声を掛けると婚約者に会いに行くところだというがそれは私だろうと立ちはだかるがこんな老人がと云われてしまう.

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トリスターナはあの聾唖の子とその友達と三人で鐘楼に登り三人は嬉々として遊ぶ.彼女は他の大人達より彼らの方が年齢が近いのである.男の子はこのように彼女の肌が出ればそこに関心を向け服をめくる.こういった細部は実に面白い.

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二人の子は耳が聞こえないので鐘の音は聞こえないが鐘を突いたりして鐘楼を上に上に登っていく.

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鐘を突こうかとしていた彼女の視線が突然驚きの表情に変わって、

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その視線の先には巨大な鐘の舌がドン・ロペの首に換わり揺れている.

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こういう画面はブニュエル映画には良くあるのだがこれも彼女の見た夢であった.うなされて彼女は目を覚ますのである.この夢は何を暗示しているのであろうか.いや、ブニュエルのあっては夢も現実も想像も入れ変わるのが常である.

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トリスターの悪夢に目を覚ました養父のドン・ロペ(フェルディナンド・レイ)もやって来た.心配そうな顔はしているがこうしてちゃっかり彼女の胸元を眺めている.

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YouTube - Luis Buñuel: Tristana

ドン・ロペは金利が下がったと云って金に窮している.夕食に卵が自分しかないので家政婦のサトゥルナに文句を言うとトリスターナが遠慮したのだと云われてただ一つの動物性タンパク質を彼女に食べさせる.彼女いつも喪服しか着ていないので他に服はないか訊くと持っていないという.そこででは買ってやろうと約束したので銀器や絵画を売りに出す.安い値段で買いたたかれるのを友人は我々が融通するから止めろというが、プライドが許さない.

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トリスターナは一人で外に出ることを禁じられている.新調の服を着せて一緒に散歩である.教会の柱廊で彼女は奇妙なことを云う.どの柱が好きかと尋ねる.ドン・ロペはそんなこと知ったことではない.棺の彫像に顔を近付けんばかりに見入る彼女の奇妙な様子に、彼女は自分を嫌っているのではないかうんざりしているのではないかと訊くと、答えは嫌ってはいない.好きかには好きだと答える.

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そこで人目のない場所でキスをしろというと彼女は頬にキスをする.併しドン・ロペは違うと云って脣にキスをする.

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その直後のトリスターナの反応が奇妙である.彼女はいきなりとってつけたような声で高笑いをするのである.

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その日戻ってから、サトゥルナに夕食までの間暇を出しトリスターナは彼女がが戻ることだけが心配と云うが何の抵抗もなくベッドを共にする.

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そして二人は夫婦同然に暮らすのであるが、ドン・ロペは風邪を引き早く寝て彼女は一人で食事する.その時皿の中から豆を二粒外に摘み出してしばし眺めた末片方を選ぶ.台詞はないがどの柱が好きかと云ったのと同じ事の繰り返しでどっちの豆が好きか自分自身に云っているのであろう.この同じ事はもっと後でもう一度繰り返される.こうした物語の進行とは全く関係無い話しが面白い.

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事実上の夫であり養父であるドン・ロペから外出は禁じられているトリスターナは時々こうしてサトゥルナと外出するがロペは益々年寄り臭くなるとこぼすようになっている.この時もこのまま出て行って戻って来たくないという.

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あるところでトリスターナは立ち止まった.彼女の視線は一本の路地に注がれ、

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この路地を見て、この道と云うとキャメラはパンして、

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もう一方の道を示し、彼女がどちらの道好きかとサトゥルナに尋ねる.云うが早く彼女は後の方の道が好きだと行ってどんどん歩みを進めていく.サトゥルナは変なこと訊く娘だといった風情で彼女に追いつくが私はあっちの道の方が好きですけどねという.柱に豆にそして道と実にこういうところがこの映画は面白い.人通りの少ない道であるが暫く行くと人々は人に噛みつく野良犬の話をし、警察を呼べと騒いでいる.その騒動の最中トリスターナはある家の門が開いていて、中に入ると中庭が見える.

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中庭には若い画家のホラシオ(フランコ・ネロ)がモデルの男性を立たせて絵を描いている.彼の姿を目にしたときの彼女の目付きから一目惚れであると解る.彼女は画家に近づき野良犬がいるから入ってきたと言い訳をして絵を覗き込む.

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外では野良犬騒ぎに警官がやってきたところである.すると突然キャメラは俯瞰ショットになって画家のいる中庭がパンしながら映されそのタイミングにはあっけにとられる.画家は彼女にモデルになってくれと頼んでいる.

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外の騒ぎが収まってサトゥルナはトリスターナが何処に行ったかを解っていたようで、中庭に迎えに来ると画家と話してどうしようかと迷っている様子の所に迎えが来たのでこれを助け船と急いで画家から離れて来る.

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サトゥルナの許に来て安心した様子で彼の話を帰りの道すがらずっとしている.

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ドン・ロペとトリスターナは外出するが彼は彼女の最近の振る舞いを疑っている.彼女も彼との外出で自分の方から話すこともない.彼はお前を監視しているからなと脅すと彼女は一人で立ち去る.

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一人になったドン・ロペはこの老婆に出逢う.老婆は彼の方も見ずに駄目男というと彼も馬鹿女と言い返す.それでいながら通り過ぎてから彼は戻ってきて借金を申し込むがけんもほろろに断られる.老婆はドン・ロペの姉であり大金持ちなのである.姉がこぼすのは自分が死んだらあの駄目弟に財産が行ってしまうということである.これは後の伏線でもある.

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ある日のことトリスターナは画家のオラシオの許に意を決したように向かう.家政婦のサトゥルヌは着いてくるなと云われても後に従いオラシオのいる建物の入り口まで行きその光景がこのようにロングで捉えられてこれも非常に凄い

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画家はトリスターナとドン・ロペの関係を知らなかった.この日トリスターナはそれを打ち明けるのである.画家の怒りはドン・ロペに向かい彼を罵るが彼女にも怒りを禁じ得ない.トリスターナが色々言い訳するが聞く耳持たぬとばかりに彼女に出て行けという.彼女は項垂れフェルトの帽子や手を伸ばす.

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彼の方は怒りで倒したイーゼルを戻して彼女の方を見ずに描きかけの絵を続ける.彼女が戸を開けてこれから出ようとした瞬間に彼女を見ずに振り返りもせずにトリスターナと彼女の名を呼ぶ.彼女はその声に立ち止まり振り返ると、

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彼も振り返り彼女に近づき戸を閉めて項垂れる彼女を抱きしめる.ここに至るまでの演出は素晴らしい.

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ドン・ロペの悪夢のように二人の口吻のショットに次いで悪夢に驚き目覚めるドン・ロペのショットがある.上の素晴らしいショットの後にたたみかけるようにこれでブニュエルは冴えている.その日は急ぎ出掛ける用事があって着替える前にトリスターナが戻って来た.彼女はうきうきしているのが解る.ドン・ロペは急いでいるので取り立てて彼女を叱らず帽子のシミを取れと帽子を渡すと彼女はその帽子を上に放り投げまた受け取るという動作をするがこれも素晴らしい.ドン・ロペは今は急いでいるから話は後だと出ていく.そして戻ると脅しすかし彼女を引き留めようとするが彼女は彼を拒絶する.

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二週間の予定でこの街に来たが長居しすぎたのでそろそろここを出るが一緒に来てくれと云うオラシオの求めに応じて彼女も出る決心をして彼の部屋で荷造りをする.そこに子供が下で紳士がオラシオに会いたいと言っていると伝言を伝えに来る.トリスターナにはそれがドン・ロペであることが直ぐ解る.

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オラシオが下に行くとドン・ロペがいた.彼女を返せ、保護者の権限で云うというロペの言葉に保護者なのかね-、もっと色々知っているぞと云うとロペは古い決闘の作法で彼の両頬を手袋ではたき明日使者が行くというが、オラシオはそんなこと知ったことではない.いきなりドン・ロペを殴り倒してしまう.

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翌朝にはオラシオとトリスターナは列車に乗り見送りは家政婦のサトゥルヌ一人である.

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オラシオとトリスターナが列車で立ち去るのをキャメラはパンして縦の構図で奥へと進む列車と見送るサトゥルナを映すが、

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そのまま線路を横切り駅舎に向かうサトゥルナを追っていく.何があるのかと思ったら、

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ドン・ロペがいた.彼も密かに来ていたのである.トリスターナは必ず戻るという彼の言葉をこの段階では強がりにしか聞こえない.

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月日は経って、その間ドン・ロペの大金持ちの姉が死に姉の財産が転がり込みその日の食料にさえ汲々としていた彼も今や裕福である.そこにサトゥルナがトリスターナが戻って来ていて連れ去ったオラシオが会いたいと言っていると報告に来たが、ドン・ロペは彼女が来ればいいだろうと云うがサトゥルナは彼女は今は重い病に罹りそれが出来ないのだという.

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ドン・ロペは致し方なくオラシオに会いに行くと彼は嘗てのこと反省していると云って礼儀正しい応対である.トリスターナの病は重く彼女はドン・ロペの許で最期を過ごしたいと云っている.もし駄目だったら連れて帰るという.それならとドン・ロペは引き受ける.オラシオは自分までとは云わないがしばらくは滞在するつもりだという.

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ドン・ロペとしては嬉しい話である.ピアノを購入したりして彼女を迎える.併し彼女の病は重く足に腫瘍があってそれが酷い苦痛を彼女に与えている.

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医者の見立ては足は切断しなくてはならない.切断しても命の保証はないと云うものである.出来ることは彼女自身の心の問題ぐらいしかないという.

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サトゥルナの息子のあの聾唖の子はトリスターナが大好きで寝室で手振りで励ますが、ドン・ロペをも慰める.

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ドン・ロペは彼の方からオラシオを尋ね、今彼女に欠けているのは君なのだ毎日彼女を見舞って貰えないかと頼むのである.オラシオはそんなに乗り気ではないが引き受ける.

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トリスターナと思える女性がピアノを弾いている.このショットから始まるのでこれが誰であるかは解らない.トリスターナであるのなら足の切断手術は終わったのだろうかと観客は思う.

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と思ったらキャメラはするする下に降りて行ってペダルを踏む足を映す.一本足である.

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キャメラはまた元に戻ってトリスターナがアップで映されるが直ぐ引いて時計を見ながら辞する時を見計らっているオラシオが背後にいることが解る.明らかに彼は時間をもてあましている.ピアノの廻りをゆっくり歩いたりしているオラシオも彼女も一言も発しない.暫くして彼女の方から口を利く.私をここに連れて来たのは私が嫌いになったからだと難じる.オラシオは君がそれを望んだのだろうと言い返し、君は変わったねと続けて云うと、これだからねとスカートをめくって膝から下がない足を見せる.オラシオは思わず顔を背け、さすがに彼女もそれを謝る.オラシオは明日も来るがその後暫くいないと云うことを告げる.それは一月という期間である.

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教会の神父がトリスターナの許を訪れドン・ロペとの結婚を盛んに勧めるが彼女は益々嫌いになって来ると云ってて承知しない.ドン・ロペがこれから買い物に行くが一緒に行くかと誘っても彼女は断る.サトゥルナの息子の聾唖の少年だけが残る.彼はトリスターナの車いすを押す役割である.

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彼女が部家に戻ると彼はついて来た.そして彼女の肩を抱き身振りで何かを求めるが彼女は機嫌が悪く彼を追い返す.

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彼は庭に戻って小石をトリスターナの部屋の窓硝子に投げつける.

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その音が聞こえる中トリスターナはベッドに置いた義足の上に下着を脱いでそれを投げ出す.脱ぐ画面がないがこういう方法で下着を脱いでいることが解る.そして少年が小石を投げつけている窓の方に近づくが彼女はガウンを羽織っている.

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切り替えされて少年は窓からテラスへトリスターナが進むところが見える.

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また切り替えされると下の少年はチョッキの前を左右に開いてみせる.

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そして切り替えされると今度はアップになってトリスターナはガウンの前をはだけ笑みをこぼす.少年はこれを望んでいたのだろうが余りもの光景に後ずさりして背後の茂みに姿を消す.

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どう話が付いたのかドン・ロペとトリスターナは教会で結婚する.友人夫婦とサトゥルヌとその息子だけが出席者でトリスターナは相変わらずドン・ロペを近付けない.腕を組もうとする彼の手は払い除けられる.

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その夜ドン・ロペは入念に髭を整え香水を振り着けもするが彼女は何抜かすといって同じベッドは断るのである.

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ある雪の降る寒い夜彼女は前に見たのと同じドン・ロペの首が鐘の中で揺れる夢を見て目が覚めてドン・ロペの寝室に行くと彼は痛みで苦しんでいる.尋常ではない痛みだ直ぐに医者を呼んでくれと彼女に頼む.

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トリスターナは次の間の電話機に向かうが病院に電話をするどころか、病院と話している振りをして受話器を下ろす音まで立てる.

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部家に戻るとドン・ロペは既に意識を失っている.トリスターナは窓に行き開いて冷気を誘い込む.これと同じ事を五年後にヴィスコンティが「イノセント」で赤子を殺そうとするシーンで使ったことを思い出す.

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窓を開くと、ショットは外の雪景色を映し、

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次に明け放れた窓を外から映し彼女が再び窓を閉じる.ことが成就する時間が外の雪景色だったのだろうか.

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この後はトリスターナのショットが入り過去の様々のシーンが走馬燈のようにフラッシュバックで入って映画は終わる.


という話であるが、フリークと性がテーマのこの物語、淡々と語られ、その事よりも選択を好む一風変わったカトリーヌ・ドヌーヴの演じる女性の謎に満ちた性格を観ている方が面白い.乙女であるように見えてそうでもなく初めての男とのキスも高笑いでやり過ごし、嫌いで堪らない養父の元に戻り結婚までする.そのありようが面白い.「昼顔」ドヌーヴは欲情の虜であったがトリスターナは違う.Tristana は哀しみの女の意味だろうが実際そんな名の女性がいるのだろうか.

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