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青山真治の「東京公園」外部の露呈

BeauMale
2012.4.4

昨年の秋に靑山真治の「サッド・ヴァケイション」について水が如何に母性に惹きつけていくといったことを書いたのだが、その後友人達と映画パーティーをしたら、まず観て貰いたかったジャ・ジャンクーの「青の稲妻」と「長江哀歌」を観て貰ったらそれには感動、他に観たいのはと訊けばあの水が誘う奴だというので、の「サッド・ヴァケイション」を観たら、ジャ・ジャンクーには非道く見劣りがする.何が問題なのだろうと考えたら非常に混濁しているし、宮崎あおいの方の話しと云うのはなくても良かったのではないか、最初の男二人が彼女の探索をと云う話をしているシーンなどは非常に TV ドラマじみていていかがなものかという話になった.

所がその「サッド・ヴァケイション」の四年後に撮られたこの「東京公園」の素晴らしさには目を見張った.この映画ロカルノで賞を取ったと聞いて是非劇場に観に行こうと思ったのがすんでの所で見逃してしまって、最近 DVD が出ているのを知って観たのである.これを観ながらこれについては絶対書いてやろうと思ったが DVD の付録に付いている蓮實重彦、黒沢清、靑山真治の鼎談を聞いたらとても何か書けるというものではないと諦めた.諦めたけれども矢張り何か書こうと思ったのは前回書いた黒沢清の「21 世紀の映画を語る」にある外側の露呈とこの映画はスクリューボールコメディーという線で書けないかと思ったからである.所でこの映画を観た瞬間にこの透明さに真っ先に感心したのだが、その事はその鼎談にも述べられている.ただ、何を持って透明というのかは解らないが、切れの良いショットの完璧さではないかと思う.その事は黒沢清が何度も述べていた.

YouTube - Trailer de "Tokyo Koen" de Shinji Aoyama
YouTube - Locarno International Film Festival - Winners 2011


この歯科医院の場面から始まるのだが筆者は役者の顔が覚えられなくて、後から治療中の歯科医師、初島隆史(高橋洋)だったのだと解ったのである.

東京公園 Hosted by Picasa

治療の途中で自室に入って携帯を見て、

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この先生何処に行くつもりなんだと不審そうな看護婦を尻目に白衣から着替えてそそくさと出掛けてしまう.

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偶然にも主人公の志田光司(三浦春馬)は、カメラ好きの青年で公園で撮影していた.

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いつもは断って写真を取っている様が声でその時の会話が被さり、そうしたとき撮った写真が画面に重なるが、この日はある人に心惹かれて写真をこっそり撮っている.

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そのある人は井川遥の演じる女性で乳母車に乗せた女の子を連れている.

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写真を撮る光司の肩を押さえた男がいる.あの女性の写真を撮っていただろうととがめる口調である.これが誰だか解らなかったのである.刑事か何かと次に会うときまで気付かなかった.

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光司は今まで撮った写真のアルバムを見せたり名刺を渡したりして決して怪しいものではないと必死に弁解するが男は、写真を撮るときは許可を取れ、また連絡するからなと脅すようにいって立ち去った.

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光司が家に帰ったときのショットを拾ったが、ここが最初に素晴らしいと思ったところなのでショット毎に挙げておく.実際ここに限らずどのショットの連続もこの映画は素晴らしいのだ.

最初のショットは本である.このように先ずものから入るというのが幾つかある.

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次は部屋の中で待ち構えた低い位置のキャメラが光司が入ってきたところを見上げるように撮る.光司が部屋の中を進み固定キャメラから外れるとカット.

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今度は光司の机に置いた手元から映してキャメラが動き顔が入るとカットで、

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いきなり部屋全体が入るロングショット.光司が写真を一枚手にとって立ち上がって入り口に向かって歩き出すところでカット.

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今度は壁の方を向いたキャメラが光司が通り過ぎるのを捉えるが、距離があるわけではなくて一瞬である.壁に大きな女性の写真が貼ってあるが光司が通り過ぎた後までその写真をちょっとの間写し続けている.この写真は後々の伏線でもあり外部の露呈であると思う.

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この短いシーンで幾つショットが重ねられていたか.それもどれも違う方法でという非常に丁寧なやり方なのである.最初に本から入ったこと、手元のショットから顔へ移動ということ、これらは観る人にこの先どうなるかの期待を抱かせる巧みな方法だと思う.ものが映ってもそれがこの後の展開が予想できず速く先が知りたいという気持ちを呼び起こすのである.

廊下に出て写真を見ながら手前に向かって進む光司を縦の構図で捉えた後、別の部屋に入ってきた.部屋にはこのヒロと呼ばれる小柄な青年(染谷将太)が何かを一心に見詰めている.この青年はその存在自体が外部なのであることはもっと後で解る.光司が写真を見てくれと差し出すが今は一寸といって目もくれない.

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光司は出掛けるので廊下に出て玄関に行くとヒロが玄関の向かいの部屋にいつの間にか来ている.不思議な男なのである.光司はアルバイトに出たのであるがそこは省略.

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次の日光司はまた公園に勝手に写真を撮るなといった男に呼び出された.前の時同様に彼はふんぞり返って後ろ向きに座っている.

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ここら辺でこの男が誰かが分かった.最初の歯科医院のシーンは何だったのかとふと思って解ったのである.この男は歯科医師の初島であった.初島は向き直ると打って変わって神妙な顔つきに変わる.お願いがあるという.あの女性を追って毎日写真を撮り続けてくれという.彼女は毎日都内の公園巡りをしていてどの公園かは毎日連絡するという.これはなんだかジャームッシュ的な世界だなと思う.

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光司はこれが何か犯罪に関係しているのではないかとその点を確かめる.

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何度かパンして二人の対話は続くがキャメラは引いて更に続く.

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暫くすると初島は光司の視線に耐えられないかのように立ち上がり話しながら光司の後ろへ回る.光司が少しふっかけ過ぎかなという面持ちで一万円ならやっても良いというと、初島は二万円出すという.写真はメールで送ってくれという.デジカメは持っていないのでそれは無理だというとポンと五万円出してこれで何とか出来るだろうという.これで昼から夕方まで毎日公園通いをすることになった.

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家に戻った光司はヒロの部屋の外から声を掛けるが返事がないので勝手に入って何かを探し出す.

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するとさっきまでいなかったヒロが何を探しているのだと聞いてくる.デジカメを持っていただろうというと置き場所を教えてくれる.

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デジカメを持ったは良いが何に使うかを問い質される.曖昧に調査の依頼だと応えても尚も聞いてくるので守秘義務があるから言えないと応える.

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夕方はバーでバイトである.出掛けようとするとまたヒロが聞いてくる.それもあいまいに応えて出掛けてしまう.

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ここでも最初はもの(花)のショットで始まる.ここは光司のバイト先のバーである.

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最初に来た客は姉の美咲(小西真奈美)である.彼女とここのマスターが仲が良くて光司はここの仕事が貰えたのである.

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三人はたわいもない話しに花を咲かせる.

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そこにもう一人の女性が松葉杖をついて登場.併しその松葉杖は無意味なものであった.もしもの時のためだと嘯いているが実際何故そうしたのかは解らない.彼女は光司の幼友達であり姉の美咲を敬愛している富永美優(榮倉奈々)である.

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美咲は弟の光司はどうかと美優に勧めるが小学校の時虐められて泣いていた時から知っているのだと光司など相手にしないという口ぶりで笑って済ませる.でもこの映画をスクリューボールコメディーだと見れば、女は最初はこうして何時も自分を優位に身を置く.

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扨、光司の最初の仕事潮風公園である.人影も少なく開けた海辺に公園で光司はかなり離れた位置から彼女と娘を撮影しているが見られて慌ててそっぷを向いたりもする.

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彼女が上を見詰めるので光司も上を眺め映画のキャメラはロングになって空を映しながら左へとパンしていき、

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この塔までいって先端のアンテナらしいところまで映すと、

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このアンモナイトの陳列台がオーバーラップして映り、そこは依頼主の歯科医初島の部屋で彼はメールで送られてきた女性の画像をコンピューターで見ている.このアンモナイトも伏線なのである.

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翌日は猿江恩賜公園(さるえおんしこうえん).縦の構図で奥に光司がカメラを構え手前を彼女が乳母車を押して横切る.

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次は上野公園だが人も多く何処にいるか見当が付かない.地図を見て動物園だろうと行くとその通りであった.

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家に戻ると美優が肉まんとケーキという変な組み合わせを持ってきて二人で向かい合ってそれを食べるとケーキの美味しさに彼女が目を丸くする.

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切り替えされて光司も同じに目を丸くする.

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美優がお腹いっぱいだと後ろに手をつき首を傾げると、

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光司も同じことをする.小津安二郎の正面から取った構図、逆構図の切り返しでもこの類似の可笑しさでそれを感じさせない.

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アルバイトは何をやっているかの問いに美優は夜中のビル掃除をやっていた.同僚に強姦されそうになって止めたが、護身術で指一本さわらせないで撃退した.美人はそういう目に会うことは良くあるからと涼しい顔して喋るので、

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光司は前にも増して目を丸くする.この事件は上野公園の前に実際に映像として映され彼女は撃退する.

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彼女はあれはいるかの問いに光司はいると答えると彼女は癇癪を起こす.何故元彼女の私には見えないで光司には見えるのだと癇癪を起こす.するとヒロの姿があるが彼女には見えないのである.

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ゾンビとなって出て来ても平気なようにゾンビ映画は沢山観ているのだ.ゾンビで良いから出て来なさいよというが、ヒロはゾンビは気味が悪いという.声は聞こえないが妙に受け答えが合ったりもする.

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何故の応えに光司がそんなの解らないというと、ヒロも俺にも解らないというのを光司がそのまま伝えると、彼女は益々怒って、光司は大切な人がいきなり死んだという経験が無いから気軽なことが言えると文句をいうが、はっと思い出す.光司は母親を亡くしているのであった.それをいって謝ると光司は小2の時のことだから、お前とヒロとは違うという.

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怒りにまかせて彼女はワインを飲み過ぎて寝てしまうのをヒロは光司に毛布を掛けるように無言で命じる.

これは外部の露呈の一種パロディーみたいであるが、外部 = 死 が現前していると言えないだろうか.

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この日の公園はどこだか解らないが、これも奥でカメラを構える光司の前を乳母車を押す彼女手前を横切るのである.この仕事はなんだか句読点のような役割を持っていてジャームッシュのような方向には行かなかった.

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その帰り家に着くと玄関の横で彼女はおでんを作った鍋を抱えて待っていた.二人で食べた後光司はヒロのデジカメの SD カードを上げるよというと彼女は要らないというが一緒に見ることにする.見るとヒロのカメラに収まっているのは光司と美優のツーショットばかりである.まるで光司と私の愛のメモリーみたいだと彼女はいうが、光司はヒロが撮っているのだからしかたがないであろうと言い返す.彼女はヒロと云う奴は少しのナルシズムもないtろあきれて「ゾンビの群れ」を見ようと行ってしまう.

その映画の引用なのか以下ゾンビが出てくるのだが引用には思えない.

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人の腕を喰らうゾンビ.

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投げ出された人間の腕.

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その後二人は炬燵に入って寝転びながらとりとめのない話をする.彼女は一度象に踏まれて死んだことがあると言い出す.死という外部が侵入している.ヒロのような聊斎志異に出てくる幽霊という形で、そしてゾンビというもっと過激な形で死が現れている.同時に彼女の無意識に放つスクリューボールも確実に存在する.

これはあるパーティーなのだが真ん中の赤いのを着けた女装した男性は光司の働くバーのマスターである.彼はあけみという女性と一緒になっていたが、ホモセクシャルの彼は彼女に押しかけられたと云っているが彼にも死の影が付きまとっていることが後で解る.

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このちょこんと座っているヒロは座敷童にも見えるが、一体いつまでここにいなくちゃならないのかと愚痴をこぼす.光司はだったらお祓いでもしてやろうかというと、ヒロはあーあ、お払い箱かというので、光司はお前が成仏できるように手伝おうと云っていると言い返すと、ヒロはご免と素直に謝って愉快な幽霊である.

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そしてまたの公園である.

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この映画多分ゴダールだったら都市の風景を沢山盛り込むだろうに東京を描いているこの映画に都市の光景は少ない.あのパーティーの前にちらりと夜景が入って、もう一度、光司が電話を受けた後に誰が乗っているかの映像はなく車で JR のガードに向かって進み JR の電車が横切り着いた先は、後の画面出解るがここは浜松町だと思う.

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竹芝埠頭である.大島航路の東海汽船の船が停泊している.

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そして船が出て朝には大島に到着である.着いた港からタクシーで病院に行く.

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そして病院の中で初めて美咲と光司の姉弟が東京からここまでやって来たことが解る.この演出も素晴らしい.観客はこの画面が出るまで何が起きたのか速く先の画面が見たくてしようがないであろう.

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案内された病室には二人の両親がいる.母親が疲労で倒れたのだった.ここで母親に真っ先に近寄るのは美咲である.クロード・シャブロルの「悪の華」が頭をかすめる.あの映画では兄妹で二人は血の繋がりがなかった.それと同じに娘は母親っ子であった.ここでもそれと同じに娘、美咲はすぐ母親の許に駈け寄る.光司は小2の時に母親が死んでいる.ということはこの母親は後妻で美咲はその連れ子である.父親はカメラマンだったらしく引退して大島に移ったようである.父の話だとその疲労で倒れたのだという.

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大島の家に行って、美咲はこの旅の間光司がずっとそっぷを向いていたと指摘して悩み事かと訊く.光司は公園である女性の写真を撮っていることを知って、光司がその人妻とどうかなっているのかと心配する.その後すぐに美優との関係を尋ねる.光司は両方とも見当違いと否定するが、光司の女性関係を探っているように変な感じである.

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座卓に席を移して撮った写真のアルバムを見せている.光司は依頼した初島の目的が解らないというと美咲はその依頼した男はその女性の夫に違いないという.

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その時彼女は上体をこのように肘の上に起き上がった姿勢を取るがこの瞬間のこの映像の美しさには思わず息を飲んだ.

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アルバムを光司に投げて帰し、彼が人妻とおかしくなることを心配していることをもう一度いい、公園からの連想のように光司を始めて見たのも公園でサッカーしているところで、どれが光司かすぐ分かったという.、

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その光司を見ている様子のフラッシュバックが入り光司の様子をちらりと見るという演出は実に上手い.

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翌朝は母が二人に筆島を見せてやってくれという以来で父は二人を筆島の見えるところに連れて行く.筆島は筆の先のような形をした海から突き出した岩である.

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それを見ていた美咲が急に泣き出した.あの筆先が関係あるのだろうか関係があるとしたら筆先は男であり光司である.「悪の華」の兄妹のように踏み切ない自分の不甲斐なさを悲しんだ涙だろうか.

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東京に戻ったら美優から散々その事を指摘される.美咲は光司を愛しているが踏み切らない決心をしている.併しそんな決心は状況が許せば吹き飛ぶという.二人での大島行きはその状況であり得たのだという.一度美咲を正面らか見るようにいわれる.

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マスターにその事を相談すると、美咲は光司のことを恋人の話をするように語るという.血の繋がりが無いということは後で知ったが何かが下りてこなければ先はないという.死んだあけみという女性は女としてどうかは解らないが人間として本当に素晴らしくて先日押しかけられたといったのは嘘で、ホモであるのにこの女性しかパートナーとしてあり得ないと何かが下りて彼女に頼み込んだのだという.夢で彼女が出て来て三途の川の反対側に立っているので必死に泳ぎで向こう岸に辿り着くと彼女は反対側にいるのだという.彼も死という外部に侵入されているのである.

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今度の公園は光司は大胆な振る舞いをする.何の断りもせずその女性の間近で何度もシャッターを押す.不思議なことにこの女性はそれに全く文句を云わない.これまでの撮影も時にはカメラで狙っているところを見られているのだがそれには平気なのである.彼女もまた幽霊なのかなという思いが一瞬したがそこで止めた.この撮影で光司はこの仕事を辞めるのだと思う.

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美優は光司のやっていることを知ってアルバムを見ていたかと思うといきなり指で空間を指す.何カ所かを指差すのである.

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意味の解らない光司に東京の地図を持ってこさせて公園の場所を順番に見ていくとそれが渦を巻いていることが解る.二人にはその意味が解らない.

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更にもう一つの指摘をする.最初に伏線だといってあった、壁の写真は光司の実の母親の写真であった.それと、公園の女性の写真を並べて似ているという.光司はマザコンだというと、母親は小2の時死んだといっただろうと反論するがマザコンとはそういうことじゃない、加藤泰の「瞼の母」だと映画の知識をひけらかす.他の女を愛せないということだろうと云ってやる.死んだ母という亡霊に光司は取り憑かれていて彼にも死という外部が露呈していたのである.これでスクリューボールコメディーは成立に一歩近づいた.

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愈光司は姉美咲と向き合うことにした.姉の写真を正面から本気で撮ったことがなかったという口実で美咲のマンションを訪れる.昼ご飯にスパゲッティーを振る舞われてそれ以外は写真を撮りまくる.彼女も化粧を直してきてモデルになる.

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食後彼女は光司の前に真正面を向いて真っ直ぐ彼を見詰めるが、

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その沈黙の長さに耐えきれなくなって泣きださんばかりにソファーに逃げ出すのを光司は尚も追って撮り続ける.

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すると彼女は彼の両腕を掴んで懇願するように彼を見る.

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二人は最初は頬を重ねるように抱き合って次に二度にわたって脣と唇を重ね合わせる.

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光司は美咲が初めて彼を見たとき彼の方も彼女を見ていたことを告白する.これでは話は終わらないと思っていると光司は姉さんが姉さんで良かったといい、姉は光司が弟であって良かったといって、二人の話に先はない.姉は父に電話して暫く大島で暮らすという.

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もう一つの問題、光司は矢張り初島に仕事を辞めると宣言する.初島はその日の治療を全て投げ出し酒瓶から直に飲みながら公園の大きな木の根元に寝転んで光司を待っていた.彼は光司を妻の浮気相手ではないかと疑いだしたのである.併し、光司が彼の妻、初島百合香(井川遥)の公園巡りはこうであると空間に渦巻きを描いててやったら、酔いも覚めてその渦巻きが何を示すかを話し出した.

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それはアンモナイトなのだという.彼がアンモナイトを掘り出すところに妻となる女性がいてその掘り出したアンモナイトは彼女への最初の贈り物だったという.今来ている公園は同じ公園で渦巻きが終わったのでもう先はないのだ.光司は謝礼は断り彼にデジカメを与えそれで今すぐ妻の写真を撮るように勧める.そして彼はその通りにするであろう.

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美優が大きな荷物を持って現れた.部屋が一つ余っていると云うので来たという.

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光司もヒロもあっけにとられる.併し、ヒロはいつの間にか姿を消した.

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美優は部屋に入ると持ってきた沢山のホラー映画の DVD を払い除けて泣きだした.頼れるのは光司しかいないので嫌がらないでくれと懇願する.

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光司はもちろん嫌がらないと彼女の背に手を差し伸べるとその手の甲に上から涙が二粒振ってきた.ヒロの涙であろう.

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ヒロの部屋だったこの部屋は明かりが差して光りの色も変わったように感じる.光司は光の司なのだ.この先おまけが付いているがそれはなくても良いと思う.昔の映画はそんなサービスはしない.

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故意であれ無意識であれ美優はその都度光司に賭けて光司を彼女のものにしていく課程はスクリューボールコメディーそのものである.外部の露呈は死というものが生者ににのしかかっている様だと思う.それにしてもこの映画は良くできている.クロード・シャブロルのように伏線を張り巡らしてそれが一気に終結に向かう様はシャブロルそのものである.光の美しさは、監督靑山真治こそが光の司に思えてくる.

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