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ホウ・シャオシェン 「百年恋歌 最好的時光」の手紙

BeauMale
2011.9.12

侯孝賢 ホウ・シャオシェンの「百年恋歌 最好的時光」を観た.この映画は劇場で見逃していて、ある晩 TV を点けたら中国語の映画をやっていて、見た瞬間にこれは侯孝賢の映画だと思ったが、もう終わり近くで録画できない.この映画の題名も知らず、番組表で確かめて、その後また TV で放映するのを知って録画して置いた.録画の良くないことはあれほど観たいと思っていても録画してしまえば安心して後で観るのを忘れてしまうことである.この映画もそれで、昨日改めて観て自分の愚かさに気付かされた.

この映画は同じ男優、張震(チャン・チェン)と女優、スー・チー(舒 淇)によって時空を超えた恋の物語である.筆者はこの俳優が最初自転車を漕いで疾走するところを観ただけで気に入った.楊徳昌(エドワード・ヤン)の「牯嶺街少年殺人事件」でレビューというがそのときの姿は覚えていない.時空を超えた恋の最初の舞台は 1966 年の臺湾のある都市である.自転車でビリアード場に駆けつけた張震がそこで働く春子という女性に手紙を渡して直ぐに立ち去る.春子は手紙を読むと、母が死にこれから三年間の兵役で別れだと書かれている.

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春子は手紙を読み終えると、このビリアード場を止めて終う.その後、入ってきた女性が舒淇で彼女は前任者の春子が机の抽斗に置いていった手紙を読む.

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その後また、休暇で張震が現れ春子の去ったことを聞かされるが、新しいビリアード場の女性舒淇が気に入り手紙を書くと約束して帰る.ある日実際彼から手紙が来ていて、前の春子のと同じに歌が引用されて「いつまでも美しく」と結んである.そして手紙は女性を去らす力があることが解る.その手紙を読むと彼女もまた別の都市へと去ってしまう.

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所が舒淇の不在を知って今度は、張震は彼女を捜し回る.この都市にいると云われた場所に行っていないと市役所で調べて、やっと彼女の母親のいる場所を探り当て、娘から来たという手紙を見てその街のビリヤード屋で彼女と出会う.食事をして明日朝には戻らないとならないという張震はバスのターミナル駅で舒淇と手を繋いで待っているところで、この 1966 年の淡い恋の話は終わりを告げる.

画面はいきなり清朝末の時代、1911 年になっている.舒淇は芸妓であり、張震はその客でありなじみの紳士である.

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そしてこれが無声映画であることが字幕の挿入で解る.この映画よりずっと前の傑作「悲情城市」で聾唖の登場人物がいて彼の手話が字幕で表示されていたが、そのときこれはサイレント映画ではないかと思ったが、それがここで結実している.サイレントであって人の会話は音が出ないが、芸妓の舒淇の爪弾く琵琶と彼女の歌は音が鳴って聞こえる.張震は清を倒す運動に荷担している様子で先輩達と、亡命者の多くいた日本や各地を飛び回っているらしく、今度はいつまで、あるいは、今度はいつお戻りにという問いかけに、何々先生に感激してどことどこに行ってという字幕でそれが分かる.

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ある日彼は芸者屋で彼女を身請けしたいと交渉するが、300 両という値段を提示されて値の高さに諦めると、それを知らない彼女らら義妹が身重になってスーさんが第二夫人として身請けしようと云ってくれたが、お母さんの要求額は 300 両、スー家で払えるのは 200 両だという話をされる.彼はでは足りない分は自分が払うというと、あなたは多妻制度に反対なのでしょう.自説を曲げるのですか?といわれたのに、そうではないが、君の妹の将来を考えると黙っているわけにはいかないと応える.

義理の妹の身請けも整ったある日、彼女から下の字幕のような質問を受ける.これには答えようがない.君のために用意した 100 両は妹のために使ってしまったから何て言えるわけがない.

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その中辛亥革命が起こり張震から彼女に手紙が来る.東京に行き下関のどこそこで何々先生の詩を思い浮かべて涙して、今度は上海に向かうという手紙である.男性からの手紙は別れの印であった.この清朝末の物語とのお別れなのである.

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次は 2005 年この映画の作られた年である.張震の役は写真家で、舒淇は歌手である.きっかけも何もなく、オートバイで疾走する画面から話は始まり、彼のマンションで、二十一世紀ともなれば性愛も描写される.彼女がマンションの暗い廊下に貼ってある写真を明かりを片手に、顔をすりつけんばかりに見ているところを後ろから彼が抱きしめてと云った画面は翌日のことである.ステージで歌う彼女を彼はステージに上がってまで至近距離から写真を撮りまくる.他にも何人ものカメラマンが同様なことをしている.臺湾ではこういうことが許されているらしい.

彼女がステージを終えると待ち構えていたのはレスビアンの同居している女性で一晩明けて携帯も切っていたことで詰られるが、仲直りしてともに帰る.彼の方は彼女が癲癇持ちでもしもの時はどうしたら良いかを書いた首から下げる札を発見する.この札と写真を届けると、彼女の家の近くで待ち合わせして、彼女の望みで再び彼の家に向かう.

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その留守にレズビアンの女友達は次のようなメールを書いていなくなる.戻った彼女はそれを見て暗澹たる思いである.

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併しこの話の冒頭と同じに彼とオートバイで彼の後ろにしがみついている.

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手紙や、書き物や、多分字幕も物語を左右するものであったが、最後に来てどう作用するか解らなくなってきた.併しこの映画は素晴らしい.

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