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ジャームッシュ「リミッツ・オブ・コントロール」言葉の排除

BeauMale
2012.5.12

今まで四日に一本という義務を課して書いてきたが今月からはその義務を止めたので恐らく増えはしないが減る傾向になるであろう.扨、今回はジム・ジャームッシュの「リミッツ・オブ・コントロール The Limits of Control(2009)」である.「デッドマン (1995)」、「ブロークン・フラワーズ (2005)」に続いて三度目である.思わず「言葉の排除」と書いたが厳密には排除ではなく、言葉で物語を進行させると云うことを可能な限り排除しているという意味である.筆者はこの映画これまで観たジャームッシュ作品で最高傑作ではないかと思う程に好きであり、感動してる.こういう映画が可能なのだと云うことにも感動している.

The Limits of Control - Official Trailer 予告編


この映画タイトル前の映像はなくいきなりタイトルから始まり、タイトルの最後がランボーの詩である.この詩は「酔いどれ船(1871)」という詩の最初に二行である.

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最初の一節を引用しておこう.言葉の排除と書いたが言葉から始まるのである.

Le Bateau ivre

Comme je descendais des Fleuves impassibles,
Je ne me sentis plus guidé par les haleurs :
Des Peaux-Rouges criards les avaient pris pour cibles
Les ayant cloués nus aux poteaux de couleurs.

おれは 非情の 「大河」をくだっていたが
気がつけば 船曳きどもは はや船を曳かず
赤肌の土人ども わめきながら船曳きをひっ捕え
的にとばかり裸のまんま 色塗りの杭に釘づけた

アルチュール・ランボオ/大島博光訳
ランボオ「酔いどれ船」

この詩はメタメッセージなのであろう.「船曳き」=「言葉」は最早磔にしてしまったよと云う.

本編最初の画面がこれである.最初これを観た時、狭い部屋にいる男を上から撮っていると気付くまではは何が何だか解らず驚かされる.孤独な男(Lone Man)イザック・ド・バンコレがトイレの個室で気功の鍛錬をしている.この映画登場人物は誰も名前は呼ばれず、孤独な男(Lone Man)というようにエンディングタイトルに載っている.名前を呼ばないのでどの俳優がこの役を演じたのか解らないくて画像検索で確かめたのもある.また間違っているのもあるかも知れない.

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孤独な男は個室を出て洗面台に来るが鏡の奥に何重にも鏡が映っている.恐らく洗面台が反対側にもあるのだろうがこういう映像も面白い.こういう場所を選んだと云うことが凄い.

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ここは空港のようでそのロビーに彼に指令を出す相手が待っていた.

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左の男がクレオール(アレックス・デスカス)で最初の第一声はスペイン語を話すかでありこの最初の言葉は今後彼の出逢う連絡員が必ず最初に発する言葉である.右にいるのはフランス人(ジャン・フランソワ・ステヴナン)でクレオールのスペイン語を英語に通訳する.自分こそ最も偉大だと思っている奴を墓場に送ってやれというのが注文である.そして創造力とスキルを使って成し遂げろ.小細工をするな.ということや塔に登れ、ヴァイオリンを探せも付け加える.更にこういうことも云う.人生には何の価値もない.宇宙には中心も端も存在しない.この言葉は通訳が何と訳したらよいかと云うと、訳す必要はない彼には解っているというので伝わっていない.

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映画は女と車があれば撮れるとゴダールは云ったがジャームッシュは決して女を排除したりしない.向こうに美しい女性二人がネックレスを見せ合っている姿を映すとクレオールはダイヤモンドは女の子の親友だと告げる.これらの言葉は決して物語を語るものではないが後で生きてくる.尚この言葉はハワード.ホークスの「紳士は金髪がお好き」からの引用である.

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そして最後に多分ホテルの部屋の鍵であろう鍵とマッチ箱が渡される.赤い箱である.この色は重要である.

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孤独な男は空港を歩くこの縦の構図、その構図のことよりも彼の歩き方が非常によい.長身ですらりとしているががに股で肩を左右に揺すって歩く.それがこの映画の魅力でもあるのだ.

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これは機内の風景である.二杯のコーヒーが二つのカップに入っている.これも重要なことだ.

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彼は受け取った赤いマッチ箱を取り出して中に入っている紙切れを見る.それには三行ばかりの数字とアルファベッドの羅列があるばかりであるが彼はその意味を解して読み終えた後は丸めて口に入れコーヒーで喉に流し込む.

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到着したマドリッドの空港だがこのシーンもほおと思った画面である.彼が左下からエスカレーターで登ってくる.登り切ったところで姿が見えなくなる.

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そのままの画面に今度は右から入って来るのである.こんな幾らもありそうなシーンであるがこういう撮り方は眼にしたことはない.

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空港を出てタクシーでマドリッド市内の大きな高層ビルのホテルに到着する.これがクレオールの云う塔なのだ.この途中の風景も面白いが割愛した.

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エレベーターに乗るまで迷路のような中を進みエレベーターが到着してからもう一階こんな巻き貝のような螺旋階段を登って部屋に到着する.

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彼は一体眠るのかどうか解らないが腕を頭にやってそのまま眼を開いている姿しか捉えられない.その姿の儘暗がりが明るくなって朝になる.そして最初にやるのは気功の鍛錬である.

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外のカフェーに腰を下ろすとボーイが出て来て注文を取る.彼は英語でエスプレッソを二杯別々のカップで(two espressos in separate cups)と注文するがボーイはうんうんと頷いて持ってきたのはカフェ・オ・レ一杯である.彼はそのカップをボーイのお盆に戻してスペイン語で dos espressos と強調するとボーイはその通り持ってきてスペイン語でお客様は神様だと云って下がる.その次の日は直ぐ思い出し、その翌日は側までこないで指で二つと合図してちゃんと注文通り持ってくる.この二杯の別々のカップのエスプレッソは今後も必ず彼の前にもたらされる.

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彼の行く所必ず上空にヘリコプターが見える.これが何であるかは最後まで明かされない.

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その日は何もなく夜ホテルに帰り微かにしか聞こえないがラジカセで音楽を聴き寝たのかどうか解らない姿勢の儘夜が明けるのが繰り返されて朝には気功の鍛錬である.

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その日はソフィア王妃芸術センター(Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía)に出掛ける.この美術館は現王妃に因んで名付けられた現代美術館である.

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彼の眼を引いたのはこの作品で、彼が気に入っていると云うことを表現しているのだろうか絵と観る彼との双方をキャメラが近づいたり遠ざかったりという表現をとる.

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美術館の後その日も二杯の別々のカップを注文していると、ヴァイオリンのケースを抱えた男(ルイス・トサル コードネーム)が歩いてくるところが映されて、

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ヴァイオリンは彼の同じテーブルに座る.おきまりのスペイン語は話すかの問いの後ヴァイオリンは暫く、如何に木製の弦楽器は素晴らしいか、演奏していなくても木の分子は演奏した曲を憶えていて振動しているといった訳の分からない話をして彼に音楽が好きかを尋ねるが彼は黙っている.

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二度の例外を除いて彼の方がこの相手で大丈夫と判断したら前回貰ったマッチ箱を出す.

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ヴァイオリンはああそれかと云って緑の同じデザインのマッチ箱を出して赤い方は仕舞う.彼はそれを受け取り他に何か無いかと尋ねるとある女と一緒に待てと云って去る.その後お定まりでメッセージを読みその紙を飲み込む.

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その日はもう一度同じ美術館に行く.これは美術館の回廊であるがこの方が彼の足がよく解る.

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今度はこのヌードを観る.観る彼の方はゆっくり顔がアップになりが絵の方は下半身と頭とカット割りされて最後に全体を映してフェイドアウトという映し方をする.

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ホテルに戻ると彼が部屋に入ったところで前に進む彼をこちら側、前方から映して進むに従ってキャメラは引いていき、ベッドで眼鏡以外は何も身につけていない女がピストルを向けお定まりのスペイン語を話すかと尋ねる.あのヌードの絵は予兆であったのだろう、彼は驚く風でもない.

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上の写真に引き続き女が足を持ち上げるのだがこれがはっとするほどに素晴らしい.エロティックだという意味だけではなくこれだけの動作で画面に活気が出てくるのだ.この後切り替えされて女の持ったピストルは何の抵抗もなく取り上げて弾を抜き隣室の何処かに持って行き戻ると女は私のお尻は好きかと尋ねる.彼は間を置いて好きだと応えると、だったらセックスは嫌いかというのに対して仕事中はやらないという.女は我慢できるかしらと云う.

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その晩はこうして過ごす.彼の何時もの寝姿に彼女が彼の腕を枕にして眠る.女はヌード(パス・デ・ラ・ウエルタ)とタイトルにはある.

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翌朝ホテルのテラスから景色を見ていると絵を見ているときと同じに見る彼と風景とが交互にアップとロングが繰り返されるかと思ったら、

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そのアップになった絵が段々キャメラが引いていったかと思ったら美術館の中の絵であった.

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その晩ホテルに戻ると彼女はこんな姿で現れこのレインコートは好きかと訊く.彼の答えは好きだである.こんなレインコートの発想はどこから来るのかこれも素晴らしい.美大のデッサンの課題のようである.その時彼女の置いてあるバッグで携帯の音が鳴ると彼は飛んでいって取り上げてそれも隣室の何処かに置いてしまう.彼は携帯は仕事中は駄目なのである.

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翌日何時ものカフェーに金髪(ティルダ・スウィントン)がやって来た.彼女は二つのエスプレッソがあるのを見て片方を自分の前に置く.彼女の注文のミネラルをーたーをボーイが持ってくるとそれを見て彼女の前に移動しているエスプレッソを元に戻す.彼女はその左右を入れ替える.なんの意味もないこうした動作が実に面白い.彼女はいきなり「断崖」ヒッチコックと口にして、古い映画が好きなのだという.そしてもう一本はオーソン・ウェルズの「上海から来た女」の話をする.男女のゲームで最後は鏡の部屋での撃ち合いでリタ・ヘイワースも死ぬがこれは彼女が金髪で出たただの一本だといった話をする.それを聞き彼が緑のマッチ箱を出すと赤いマッチ箱を出して彼が中を見るとダイアモンドは女の子の親友だと彼女はクレオールと同じ言葉を云う.

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帰りしな彼女は持っていたビニール傘を開いて一周する.これは覚えておく映像である.

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ホテルに戻るとホテルの建物の中にある池でヌードが丸裸で泳いでいる.部屋に戻ると上だけ珍しく着て彼に近づきあなたのの欲しいものを上げるという.それを聞いて彼は直ぐに赤いマッチ箱を彼女に手渡すと彼女からは緑のマッチ箱を渡される.

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彼女は自分の掌に赤いマッチ箱の中味を出して見る.ダイアモンドであった.クレオールや金髪の云った言葉の意味が解った.連絡員は人によって報酬を貰うようである.

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その報酬に満足したのか彼女は私達の恋物語のためにもう一晩いると云って二人でラジカセを聴くが、彼女はシューベルトは好きかと彼に訊く.無論彼は返事をしない.シューベルトは三十一歳で死んだと彼女は云う.そのシューベルトの音楽は微かに弦の音が聞こえるだけでどんな曲か聞き取れないが、これは彼が前に聴いていたのと同じものである.

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そして何時も通りに彼は指一本触れずにこうして眠る.

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翌朝多分彼女は眠っているのであろう、彼は静かにホテルを出て列車で旅立つ.通路を東洋人の女が近づいて来た.

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彼女は分子、化学の分子である.工藤夕貴が演じている.ジャームッシュは相米慎二の「台風クラブ(1985)」に出演している工藤夕貴を気に入り「ミステリー・トレイン (1989)」では彼女を主役に抜擢している.これは例外で、彼女の方から赤いマッチ箱を置いていく.もう一つ例外がある.マッチ箱の色が前回金髪がもたらしたのは赤であったから今度は緑であるべきなのに赤である.

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そのまま過ぎ去ってしまう彼女を不審に思ってみると彼女の方も振り返りついて来るように誘っている.後をついていって彼女の席に向かい合わせに座るとおきまりのスペイン語は話せるかの後に分子の話をするのだが彼は表情も替えずに聞き入っている、

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そして日本語で宇宙には中心も端もないというあのクレオールの言葉を云う.あのときもスペイン語で云われて訳して貰えなかったが今度は日本語で誰も訳してくれない.言葉がこうした形で使われているのである.最後に彼女はパンが届くまで三日待てと云い、ギターがあなたを捜すという.戻って彼は赤いマッチ箱のメッセージを読み飲み干して、スーツを茶色のに着替えて列車を降りる.

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これが新しく投宿するホテル(あるいは個人の家)の入り口である.

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ホテルの階段は吹き抜けになっていてキャメラは入って来る彼を捉えて上から映しこの後彼が上に上がってくるまでワンショットである.

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ゆっくりと彼を追い彼が階段を登り始めると、

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視界は一階から二階に移り、

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そして彼が階段を登ってくるまでを捉える.前のホテルでも階段を登るときは毎回違う角度で撮っていたが、ジャームッシュはこういう所に拘っている.

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翌日は気功の鍛錬を終えてから表に出る.歩いていると後ろから何人かの子供達がついて来た.子供の一人が彼にあなたはアメリカのギャングかと問うてくる.彼はそれを否定し、それだけである.

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その翌日あてどもなく彼は歩みを進めると、出てくる時拾った絵葉書を取り出してみると同じ建物が見えた.類似と照合というテーマはこの映画では既に一度景色と絵画であった.もっと後にもう一度ある.

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その晩フラメンコカフェーとでも云ったらよい店に入ると練習中で閉店していると云われるが、スペイン語が解らないからかいさせて貰える.

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フラメンコが踊られ歌われ演奏されるのを見て彼は拍手喝采して終わった後に歌っていた男が近づいて来てマッチ箱を出したので愈かと思ったら煙草に火を点けただけであった.

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ギターは翌日やって来た.ギターはジョン・ハートである.「デッド・マン」にも出演していた.彼は君はアートに興味はあるだろうと云ってボヘミアンやプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」の話をする.アートがらみのボヘミアンという言葉の起源と云った話をする.彼は赤いマッチ箱を出すと彼はあんたにはこの仕事があったと云って緑のマッチ箱を取り出す.そしてメキシコ人と会えドライバーも一緒だという.そしてギターを彼に渡しそのギターについての蘊蓄をたれる.立ち去るときにこんな格言があるとスペイン語で人生は何の価値もないと最初にクレオールの言った言葉を繰り返す.

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メッセージを見て飲み干した後彼が立ち上がって去っていくところだがここでこういうロングショットが挿入されるのも素晴らしい.

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翌日はまた別の場所への移動である.今度はギターがお供である.ギターは真っ黒な古めかしいが立派なものであった.駅に向かう路地を歩いているとあるポスターに眼が止まる.

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映画のポスターらしいのだが中央にあの映画好きの金髪が描かれている.あの傘を開いて一周して見せたのはこのためであった.

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所がそれは予知であった.あの金髪本人が男達に拉致される現場を見てしまったのだ.

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彼には任務があるのでどうすることも出来ない駅に行ってホームを歩く姿がギターを持っている所から映され、

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キャメラは上半身へと移動する.列車の音が聞こえてきたらカットで、

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いきなりロングで、彼の姿が左から現れると直ぐに列車が同じく左側から現れる.このショットには驚かされた.普通だったら最初のカットで引いていってロングにすると思うがそうではない.一瞬位置関係が解らなくなる.向こう側のホームに移ったのかという錯覚を与えられる.こんなショットも面白い.

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列車は寝台車で下に何時も通りの彼の眼を開けたままの寝姿で上の段に左にギターと右にバッグと彼のスーツが載っている.これを真横から映していると云うのも面白い.これはセットでないと映せないだろう.

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彼はギターのケースを開けてギターを出し弦を一本外しそれを手に巻き付けてからポケットにしまう.これで愈仕事の完結が近いことが解る.

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彼が降り立ったのは非道く寂れたうらぶれた場所である.駅舎の前のベンチに老婆が座っている.男と女だけではなく子供や老人を画面に入れるということは映画にとって大事なことである.子供は既に映している.そして老婆ある.

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風力発電のプロペラしか見えない人家のない道を歩いて行くと人家の集まっている場所に出た.ぽつねんと座る少年が空を指差しアメリカ人だという.

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そちらを見れば上空にヘリコプターが一機飛んでいる.

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彼は高台のカフェーで何時も通り二杯のエスプレッソを二つ置いて来るものを待っている.

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掻き混ぜたスプーンに真珠が入っていた.この話はこれだけである

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彼のいる高台よりずっと下でトラックを運転する女、ドライバー(ヒアム・アッバス)がメキシコ人(ガエル・ガルシア・ベルナル)にマッチ箱とメッセージの紙切れを渡し上に持って行けと指図している.これまで連絡員は歩いて近づく所は映されたがこんな所まで出るのは初めてのことである.

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メキシコ人は坂道を登ってやって来てスペイン語を話せるかとお定まりの言葉を云う.

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そして連絡員の方からというもう一度の例外を行った.赤いマッチ箱を直ぐさま出したのである.色は赤で順番通りである.ここで驚かされたのは指の刺青である.これはチャールス・ロートンの「狩人の夜」のロバート・ミッチャムの引用である.

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メキシコ人が黒い美人の恋人がいるのだってというので、寝ていると彼が応えるとメキシコ人は靴で床に置いてあるギターのケースを開けて見て、スペイン語でこりゃ凄い大した美人だといって眼を細める.

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メキシコ人は真実はない、反射象の方が存在感があると云って紙のナプキンのケースに自分の顔を映す.また弦が一本のヴァイオリンを持つ種族の話とかして漸く彼が緑のマッチ箱を出すとメキシコ人はそれを受け取り携帯で連絡しようとすると携帯は使うなと切ってしまう.それならと云ってギターのケースに手を伸ばして取ろうとすると彼は足を置いて持って行かせない.彼が出ていくとメッセージを読んで下の方にいるトラックと戻ったメキシコ人を見て彼も下まで降りて行く.

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下まで行って、彼はメキシコ人にギターを渡してやるともう大喜びで携帯は使うなと云う彼の言葉を繰り返す.

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ドライバーのトラックに同乗してかなり奥地まで行きそこのアーチのある一軒家の前に止まり彼女は地図を見せる.

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そしてスペイン語で自分こそ偉大だと思っている男を墓場に送ってくれ、思い知るだろうという.

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彼女が立ち去るときトラックの後ろに書いてある LA VIDA NO VALE NADA はきっと何か前に出て来た言葉であろうと調べたら、フランス語では LA VIE NE VAUT RIEN、英語では LIFE IS WORTH NOTHING、そして日本語では「人生は価値が何もない」であった.最初にクレオルノ云った言葉の反復である.

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家の中の家具は皆白い布で被われていた.翌朝壁の絵までもが被われているのを見入る.併しこれはもう一度眼にするものである.

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彼は地図を頼りに探索に出掛ける.

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辺りは見たことのある風景が広がっている.一時期ハリウッドの映画はロケ地としてスペインを多く使ったがここなどそれに使われた場所ではないかと思った.標的の見えるこの岩の上など今にも西部劇が始まりそうである.

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標的の屋敷は塀で囲われ見張りが沢山いてヘリコプターが土埃を巻き上げながら着陸するとお偉方らしいのが何人か降りてきた.

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家に戻るとベッドの被いの布が盛り上がっている.割れた眼鏡が転がっている.そっと布をのけると素っ裸の女がいる.寝ているのか死んでいるのか解らない.

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彼は彼女の頬をそっとなで手に持っていた緑のマッチ箱を取って自分の赤いマッチを彼女の掌に置いてまた被いを頭までかけてやる.彼女はあのヌードと同一人物である.

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彼は気功の鍛錬をした後何時もと違う速い動きの空手の所作をする.そしてギターの弦を両手で引っ張って点検する.愈決行なのだろうと思う.

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暗い中相手の場所を観察するとこの通り見張りがうじゃうじゃいる.暫くその様子をあらゆる角度から観察していた.

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だが創造力とスキルに長ける彼にとっては障碍はないらしい.途中経過は無くて相手の中心部の部屋に入っていた.そこに親玉のアメリカ人(ビル・マーレイ)が戻って来た.「ブロークン・フラワーズ」に主役を演じていた役者である.彼がいるのに気付いて拳銃を放とうとするが弾は出ない大声で見張りを呼ぶが防音室であることに自分で気付き止めてしまう.どうやって入ったのかと訊くと創造力を使ったという答えが戻ってくる.

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お前らには世界がどういう仕組みで回っているか解っていないというが彼は自分なりに解っているという.お前らの脳は汚染されている.と散々云うが目的はあっさりと成し遂げられる.

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車と列車でマドリッドに戻るが途中列車でヌードが持っていた最後のメッセージを見たら白紙であった.彼が真っ先に行ったのは美術館で、あの家で見たのと同じものが壁に掛かっていた.タピエスのような感じだが誰の作品かは解らない.

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そして彼は出だしと同じトイレの個室で服を普段着に着替えるがこの部屋の壁と彼のジャンパーの色調はスペイン色である.

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あの鏡が何重にも映る洗面所を通って、

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出ていくのだが、最後にヌードに渡されたマッチ箱に白紙のメッセージを詰めたのを塵箱に捨てていく.

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この映画は本当に素場らしい.劇場で見なかったのが返す返すも残念である.物語の導き手ではない言葉もそれ自体で面白いのだ.もし映画に抽象映画というものが存在するならこの作品などはそうなのではとふと思った.

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