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ポランスキー「袋小路」と「テス」の冒頭

BeauMale
2011.10.16

昨晩はそんなに昔に観た「袋小路 (1965)」を観たくなって観たのだが、最初のロングの画面と、ギャングが寝ているときに裸足の両足の親指に紙切れを挟み込んで火を点けるという画面だけであった.火を点ける美しいフランソワーズ・ドルレアックが怒ったギャングに太ももの裏を革紐で打ち据えられるという刺激的な画面があるのにそれはさっぱり覚えていなかった.

「袋小路」の最初のロングの場面は今観ても素晴らしい.一本道の遠くにこちらに向かって車がやってくるのだが、その画面に最初のタイトルが入って俳優、監督名が出て全てが終わったところでやっと車がこちらまで到達するのであるが、考えてみればやけに時間が掛かる.近づいて解るのはその車はエンジンで動いているのではなく人が押しているのである.運転席にはちょび髭で丸い縁の眼鏡を掛けた男が座っている.その車を後ろから片腕を負傷して肩から吊っている大男が押しているのである.

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ちょび髭の男は負傷してかなり弱っているようで動けない.背中に当たるものがあるというので大男が彼の後ろから機関銃を取り出して後部座席に置くので彼らがギャングで何らかの事件で負傷して逃れてきたことが解る.車は結局ごとんと音を立てて止まってしまう.大男は電線見ていたかと思うと、この近くに電話があるから待っていろと、辺りを見回すと遠くの高台に城が見え、そこに向かって上っていく様子が男の姿が見えなくなるまで映し出される.その情景も美しい.

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「テス (1979)」でも出だしに似たようなロングのショットがあったと思って見てみたら、こちらも同様に最初遠景の山並みが映され次に左の方の一本道に一団の人々が音楽を奏でながらこちらに向かってくるのが見えるとタイトルが出てくる.「テス」より十五年も前に出来た「袋小路」とは違って、タイトルはずっと長い.一本道をこちらに進んで来る一団の人々が到着するまでに終えることは出来ない.このやってきた人々は楽団と村の女性で皆白い服を着て野原で踊るのであるが、女同士で踊っている.

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そこに旅の途中の数人の男達が通りかかり、男がいない理由を女達に訊くと男達は仕事が終わってから来るがそれまで一緒に踊らないかと誘われる.人に見られるからと断る男、加わって一緒の踊り出す男と別れて踊りが再開され、女達の中に頭に花の冠を着けたテス役のナスターシャ・キンスキーの姿が現れ、一本道を立ち去る男を見送るように男の姿が遠くに去って行く.

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十五年を隔てたポランスキーの二つの作品の冒頭が同じ構造だというのは感動すべきことである.

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