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アラン・レネの「巴里の恋愛協奏曲」は楽しい

BeauMale
2014.1.19

数日前に観た映画、あの「ヒロシマモナムール (1959)」、「去年マリエンバートで (1960)」の監督アラン・レネがこんな映画も撮るのだ.その前に観たミュージカルの「恋するシャンソン (1997)」同様音楽映画だがこっちはアラン・レネ流に複数の物語が進行しているように見えるのだが、オペレッタの映画化「巴里の恋愛協奏曲(コンチェルト) PAS SUR LA BOUCHE (2003)」は単線的に進行する.キャメラは「恋するシャンソン」同様にレナート・ベルタである.筆者はもしかするとレナータ・ベルタのキャメラが一番好きかも知れないがこの映画の映像は美しい.

YouTube - Not on the Lips / Pas sur la bouche (2003) - Trailer 予告編


粗筋を語るとき役者の名前呼ぶか役の名前で云うか迷うが今回は何れでもなく演じる役柄で話す.舞台は 1920 年代のパリの豪壮な邸宅で家具調度、服装はアール・デコに統一されてとても美しい.出だしはこの日はこの邸宅の女主人のお茶会でその招待状が撮され次いで真上からテーブルにお茶の器や菓子が所狭しと並びキャメラがゆっくり引くと若い女性が三人テーブルを囲んで座り歌い出す.主人役の夫人が不在で女達はお菓子が食べたいと歌い出す.

そこに中年の小父さんがやってきて主人の不在に女達に菓子を食べさせ有名デパートでバーゲンをやっているという歌を歌う.すると女たちはさっさと行こうと全員出て行ってしまい男はあれは嘘だが追っ払ったと云っている.そのようにこの映画の役者はキャメラ目線になって観客に説明をする.彼はこの家の不在の女主人に恋している.

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左にいて話を聞いているのが女主人の妹で婚期が遅れたオールドミスであり右の若い女は彼女に好きな若者がいるがその事を名を告げずに男に伝えてくれと頼んでいる.

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その気の良い妹に寄りかかっているのが戻って来てお茶会のことは失念していたがそんなことどうでも良くてさっきの若い娘が好きだと云っていた若い男に彼女も惚れているという歌を歌う.

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左側の紳士がこの邸宅の主人で鉄鋼業の会社を経営し、嫉妬深く、最初に登場した小父さんが妻に近づきたがっているので追い払いたいと歌う.

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左の背の高い男が先ほどの若い娘やこの邸宅の彼の隣に立つ女主人が恋する若者でダダイズムを凌ぐ前衛芸術をやっているという若者である.若者は夫人を慕い夫人も若者が好きであるが一線を越えないのに若者は苛立っている.

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夫はこの日の晩餐に自分の会社と提携する契約を結ぼうとしているアメリカの実業家を呼んでいる.妻はその相手の名前を聞いて困り果てた.アメリカ人は彼女の前夫であるが今の夫には結婚していたことは隠してある.夫は処女でこそが自分に相応しい相手でありそうであればこそ一生裏切らないと公言している男なのだ.そこで妹に頼んで秘密にしてくれるよう説得して貰うがアメリカ人はフランス語を忘れたかのように YES、NO しか云わず突っ慳貪である.

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今度は女主人自身が直接頼むと前夫のアメリカ人は復縁を迫ってくる.そして晩餐会になるがここまでが人物紹介である.

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またの日あの前衛芸術家の作った芝居に沢山の人が同じ屋敷に集まっている.若者は自分と夫人を主役にして芝居の稽古をやっているが前夫のアメリカ人が付きまとって二人を監視している.

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このアメリカ人の前夫も変な男でこれと決めた相手でないと脣のは接吻をしないと公言しているのでそれを知った若い娘たちから脣へのキスを求められて逃げ回るが周りを囲まれ顔中にキスマークをつけられる.この映画の原題は Pas sur la bouche (Not on the Lips) でその歌が歌われる.

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YouTube - Pas Sur La Bouche キスの歌

次の画面は夫と元夫のアメリカ人、妻と妻の妹の四人が四重唱を歌いまくり皆が動きながら奥に鏡のある部屋で歌うので何人人がいるのかと思うほどに面白い画面が出来る.夫は妻は処女であったから良いのだと歌えば妻はそんなこと人前で云うなと歌い返す.この後契約調印の時に夫がアメリカ人の履歴に結婚していたとあってその妻の旧姓が自分の妻のと同じなので驚いて妻に聞くとそんな姓はありふれているとか妹が彼の妻であったとか大慌てなので夫は疑い出す.

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前衛芸術家の若者は夫人と二人になりたくて最初に出て来て同じく夫人を慕う小父さんに部屋を貸してくれと頼む.部屋はあと一日だけ契約しているがという若者はそれでも良いと云って道順を聞く.その道順が歌になって、それを六人が歌い出す.若者は妻だけではなく自分を慕う若い娘も誘っている.妻は妹と一緒に行くことにしている.アメリカ人はホテル住まいも味気ないのでアパルトマンを借りたから来いよと行って夫を誘う.この道順の歌が六重唱で柱の陰や庭の植え込みなど右往左往しながら歌われこれも素晴らしい.

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同じ場所で、アメリカ人は明日からだが一日早く借りたいと金を払って借りてしまう.管理人の婆さんは女を連れ込むのを覗き見したいだけでそんなことお構いなしなのだ.人も部屋もダブルブッキングでドタバタ劇となるが最後はこういうカップルで収まるのである.

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昔劇場で観て、何と云ったらよいのか言葉も出なかった「昨年マリーエンヴァートで」.解らなさにショックを受けたままその後殆ど観ていないで忘れていたアラン・レネ.最近もう一度「昨年マリーエンヴァート」を観て以来好きになって何本か観た.アラン・レネの面白さは何と云ったらよいのか解らないがとても心引かれる映画監督である.このオペレッタも好きである.沢山の人物が舞台を動き回って歌う様子が実に楽しくそのキャメラが意識には登ってこなくてもその動きを的確に捉えているし、どうだと云って見せなくても色彩の設計と云い家具や丁度の置き方と云い何もがきっかりと出来ていて素晴らしい.本当は「昨年マリーエンヴァートで」のことを書きたかったがブルーレイから写真が取り出せないので諦めた.

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