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ブリソー「白い婚礼」は良いところが見いだせない

BeauMale
2011.11.9

「白い婚礼 (1989)」の監督ジャン・クロード・ブリソーはエリック・ロメールの「レネットとミラベル/四つの冒険 」に出演していてロメールに師事していて、俳優もシナリオも監督もキャメラも何でもこなして、この映画はレイトショーだしある程度期待が出来ると思って観に行ったが全く期待はずれであった.宣伝文句に「愛をさがしては、いけなかったの?ヴァネッサ・パラディ、衝撃のデビュー作。」とあるところを見ると、ヴァネッサ・パラディという女優のデビュー作でこの女優の売り込みのためのみに作られた映画としか思えない.

ブルーノ・クレメルの演じる高校の哲学教師が小悪魔のような教え子につきまとわれ彼の方も恋をするという月並みの話であるが、その物語自体が説得力を欠き脚本がかなりいい加減にこんな話で良いやという具合に書かれているのではないかと思う.(以下の写真は DVD を持っているわけではないので YouTube のものである)

ある高校で哲学教師が無意識について講義をしていると、四十五分もの遅刻してきた女生徒がいる.彼は皮肉たっぷりに出迎えて結局教室から出て行かせる.

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その日の昼休みなのか彼が車で学校を離れようとすると数人の人だかりがあって彼女が倒れているのに遭遇し彼女の求めに従って家まで送り届けるが彼女はアパートに一人暮らしで、着くなり素っ裸になってベッドに潜り込む.一人暮らしで真っ青になって倒れても医者は要らないというので気になる彼は放課後もう一度尋ねることを約束して学校に戻る.

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彼女の身上書を見せて貰うと、父親は精神分析医.母親は自殺を繰り返す女.兄二人は逮捕歴があり彼女は一人暮らしであるが学校は殆どサボっていて成績は非道くよくも進学できたというものである.放課後訪れたときは彼女は起き上がり元気を取り戻している.身上書の内容で兄二人は麻薬の売人で捕まってその後音沙汰なし.母親はしょっちゅう恋人を変えてはうまく行かずその度に自殺未遂で病院に入れられている.父親はそんな母親と暮らさせておくことは出来ないと別れさせて一人住まいである.毎日が戦いだという彼女に彼は勉強しておけば戦いを有利に運べると諭す.彼女は麻薬はどうなのかを尋ねると兄の影響で少しはやったが二三年で意志の力で止めたという.麻薬を買う金はどうしたかの問いに、売春をしたとこともなげに応える.

次の哲学の時間彼女は少し遅れたが学校で呼び出されたからだという.宿題の無意識をベルグソンはどう定義して、フロイドの定義は何かという出題でった.最初に彼女を当てたら、何も見ずにすらすかと応えるので教室全員から拍手をされこれには驚いてしまう.その後彼女は出来がよい生徒なのだと、毎日のように彼女の許を訪れては勉強を教えるが何でも出来る.苦手だという数学は微分は完全に理解しているし、英語はイギリスで生まれたので五歳の時からぺらぺらだという.放校寸前であった彼女を職員会議で最後のチャンスを得られるようにし、後には他の教師から彼の補修のお陰で見ちがえるように良くなったと褒められもしよう.

学校で哲学の試験の時など彼は彼女を見ないではいられない.

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彼女の方もそれを充分に意識している.

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彼女の方から誘惑して二人は関係してしまうが、脚本が駄目なのはいきなり彼女がどうしてこう素直になるのかの説得力に掛けている.また誘いに簡単に乗ってしまう話も出来すぎである.ボート遊びした後に岸の草原をスロープになっているのを彼女が先に走り上って行くところを彼が後を追うが、追いついた所でいきなり服を脱ぎ捨てロマンティックな音楽が鳴って、何だよねこれはと思わずにはいられない.裸を見せるためだけの演出である.

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学校の校舎から出て階段を下りてくると彼をファーストネームで呼ぶ声がする.これは右側に階段があり左が奥まっていて縦の構図になり、ここの道具立ては揃っててどんな面白い演出を見せてくれるかと思ったら、奥の赤い服が見える彼女の許に彼は走って行き、抱き合った後彼女に引っ張られるように奥から出てきて二人は車まで走って行き、その情景を階段の上から他の教師に見られている.その見られたと云うことは何ら問題にならない.折角の道具立てが無駄になる演出である.

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哲学教師の妻は本屋を開き雑誌にも寄稿している.妻は最初の日から彼と生徒のことに気付いていた.彼女も元々教え子だったらしい.小悪魔の生徒は度々電話をしてきて妻が出ると切ってしまう.そのことから二人は不仲になり妻は本屋で寝るといって暫く別居になる.その間見計らったように小悪魔は彼の家にやって来て、一晩過ごしさえする.彼に離婚しろとせがむが彼は断り別れる事にする.

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すると、復讐が始まる.昼夜分かたずひっきりなしの妻が出ると切り夫が出ると無言の電話が掛かり、学校では同級生の男の子と同棲して彼に見せつける.併し妻から電話があって駆けつけると本屋の店がめちゃめちゃにされていた.その時間彼女は学校にいたぞと言い訳をするが仲間にやらせたのだと云われ彼は学校にとって返し授業中の彼女を捕まえ空いている教室に連れて行き思いっきり平手打ちを喰らわす.彼女は平気な顔してまた彼の前に立つのでもう一発お見舞いする.

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すると、また彼の前に立った彼女は彼にすり寄り抱きついてきた.ここからも脚本が本当かよと云うものである.二人はそのままセックスを始めてしまうのである.それまでも彼女がそうしてすり寄ってきて彼にも魂胆は解って何度か撥ね付けていたのである.その現場を生徒に見られ、生徒が鈴なりになる.結局彼は別の土地の学校に左遷される.

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その土地の学校で何時も通り哲学を教えていると警察から電話があって、少女が死んであなたの名前と電話番号があるという.駆けつけてみたら彼女であった.アパートの家主の話では彼女は二週間ほど前にここにやってきて外にも出ず、食料は自分が二日に一度買ってきてやっていた.彼女は日がなその椅子に腰掛けその窓から外を眺めていたという.窓を開けてみると学校が見えた.これも説得力に欠ける.彼女が彼をどういうつもりか良いように利用しているように見えたが、こうまで恋慕っているような作りになっていない.

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澤井信一郎は「野菊の墓(1981)」で松田聖子の映画を作り、「Wの悲劇 (1984)」で 薬師丸ひろ子の映画を作り、「ラブ・ストーリーを君に(1988)」で後藤久美子の映画を作ったけれどもこんな出鱈目な映画ではなかった.アイドルのための映画でもどれも遙かに上質な映画であった.

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