viva cinema

クロード・シャブロル「石の微笑」の石像

BeauMale
2012.1.9

この映画「石の微笑(2004)LA DEMOISELLE D'HONNEUR」は残念ながら「悪の華」程は感激しなかった.物語の語り方は非常に上手いのだが、上手く作りすぎているという印象を受けた.「悪の華(2003)」を観た後に「甘い罠 (2000)」とこの「石の微笑」を観たのだが何れにも「悪の華」が勝っているという印象である.どういう点であるかというとはっとするショットが少なかったという点でであろう.何れも脚本はシャブロル自身が加わっている.撮影は、「甘い罠」はレナート・ベルタであるが、他はエドゥアルド・セラである.レナータ・ベルタの撮影した映画はダニエル・シュミット監督の映画を沢山観たがどれも素晴らしい.ああ、ダニエル・シュミットが観たいが DVD は一本も持っていないし、どれも高くて買えない.「甘い罠」はココア、「石の微笑」は石像という小道具を使っていてそれが気に入らないのかも知れない.


タイトルが被って最初ははっきりしないこういう風景が右から左への横移動で続く.この地は大西洋に面した都市ナントである.

Hosted by Picasa

進むにしたがって何が映っているかが次第にはっきりしてくる.

Hosted by Picasa

ここまで来ると住宅地で映っているものが何かがはっきりと解る.

Hosted by Picasa

そしてパトカーが見え、人だかりがしていてテレビの中継をしている画面で横移動は止まり、キャメラは寄って中継そている記者をミディアムショットで捉える.

Hosted by Picasa

するとその画面はいきなりテレビ画面へと切り替えられる.その記者の言葉でそこの家の娘が行方不明になったという話を知る.

Hosted by Picasa

テレビを見ているのはソフィー(ソレーヌ・ブトン)とパトリシア(Anna Mihalcea)の姉妹である.姉のソフィーは十日後に結婚を控えている.彼女はその行方不明の女性は友達の彼女だという.二人が見ているテレビが消されてしまう.

Hosted by Picasa

消したのは二人の兄フリップ(ブノワ・マジメル)でこの家は父親が死んでいるので兄が父替わりに妹たちにしょっちゅう小言を言って二人を怒らせている.これから一家で出掛けるので早く支度をしろとテレビを消したのである.

Hosted by Picasa

直ぐに母親クリスティーヌ(オーロラ.クレマン)が戻ってきた.彼女は夫の死後三人の子供を美容院をやって育てて今美容院から戻ったところである.これから一家四人で母が再婚するかも知れないジェラール(ベルナール・ル・コク)の家に子供達との初顔合わせに行くところである.

Hosted by Picasa

母はフィリップを伴って庭に出てフローラの石像を再婚するかも知れないジェラールが褒めたのでプレゼントしたいがどうかと息子の許可を求める.息子は不服そうな顔で答えないが妹たちが支度が出来て庭に出て来たので、二人に訊くと父が母に与えたものだからどうしようと不服はないと無関心である.致し方なくフィリップも母の望み通りにする.

Hosted by Picasa

ジェラールは大きな家に住んでいて石像は一度は口だけ断るが受け取る.家での晩餐かと思ったら、食堂のとは一家がやってきた時ぴたりと閉めて外のイタリア料理店で食事をする.子供達はジェラールをそれほど気に入っていない.

Hosted by Picasa

戻って母に彼をどう思うかの質問には答えず、庭を見るとフローラの不在の台座だけが見える.

Hosted by Picasa

数日経って、妹たちは結婚式の付添人の女性達の衣装の裾を直している.付添人の一人がセンタという名でソフィーの結婚相手の従兄妹であるということを知る.センタはステファニーが本名だが彼女は名前に凝るのだという話である.

Hosted by Picasa

フィリップは建築会社で事務系の管理職をやり客の応対が上手く、苦情があると相手の家までいって上手く苦情を処理して社長からも気に入られている.その家庭訪問で来た家の直ぐ隣が母の再婚相手ということだったジェラールの新居で庭にフローラの像があるのが見える.ジェラールは一家との会見の後仕事で暫くイタリアに滞在で妻とは離婚で財産分与でその家は売って新居を買ったと言っていたが母には絵葉書が来ただけで行っていた予定より早くフランスに戻っていたのに母にはその事も知らせず、結局再婚の話は流れていた.その夜フィリップは忍び込んでフローラを盗み出して自分の部屋に隠す.

Hosted by Picasa

結婚式の日、市役所に勤める新郎と新婦のソフィーと付き添いのセンタともう一人の写真撮影が行われる.一番左がセンタ(ローラ・スメ)で彼女はフィリップをずっと見つめている.

Hosted by Picasa

撮影の後センタが近づいて来てフィリップに自己紹介をあしてフィリップも彼女に一目惚れである.末の妹にあれは誰だと尋ねられセンタでフローラに似ていないかと口にするとカメラはすっと動いてフローラ不在の台座が映される.

Hosted by Picasa

結婚式は教会で行われ後の披露宴も別の場所で行われる.披露宴の間フィリップはセンタと何度も目を交わす.

Hosted by Picasa

外は雨降りになってフィリップは仕事もあるので先に家に戻ることにするがセンタの所に行って雨なので送ろうかと誘うが断られる.

Hosted by Picasa

所が家で仕事をしているとセンタがずぶ濡れになってやってきた.洗面所でずぶ濡れをタオルで拭うがびしょ濡れの衣装を着た儘なのでフィリップは着替えを取って来たらセンタは母のバスローブを羽織っていた.

Hosted by Picasa

所がバスローブをはらりと脱ぎ捨て寒いので抱きしめてくれという.家では母に知られるのでと彼女の家に送っていく.

Hosted by Picasa

彼女は大きな手入れをしていない屋敷の地下に住んでいて、門を入ったところでホームレスが住み着いてその小屋があって彼女はそれを嫌っている.二階に母が住んでいるという.彼女は彼を運命の人でずっと待っていた人だと云い、彼も彼女の虜である.

Hosted by Picasa

翌朝目を覚ますとセンタはパリにオーディションを受けるために出掛けると置き手紙がある.上の階から音楽が聞こえるので上がってみると扉の隙間からセンタの母であろう人と男がダンスのレッスンをしている.三階にも上がってみたが部屋には鍵が掛かっている.

Hosted by Picasa

家に戻った彼は仕事をするが押し入れからフローラ像を取り出して机に置いている.盗み出してからいつでもそうしていて今やセンタ=フローラで石像に口吻さえする.

Hosted by Picasa

またはこうして横抱きにしたりもする.そして部屋を出る時も人が入ってくると押し入れに隠している.

Hosted by Picasa

翌日センタに電話をするが彼女は出ない.いるのに出ないのである.彼はたまりかねて直截尋ねていく時門を入った直ぐの植え込みの所にいたホームレスの男に躓き彼と話をする.ホームレスの話だと彼女は一日家にいて彼は彼女は嫌いでいがみ合っているという.

Hosted by Picasa

彼は致し方なく車で張り込んでいたが寝て終ったところに彼女が現れ海に連れて行ってくれという.そこで彼女は身の上を話してくれる.母親はアイスランド人で彼女を生んだ後直ぐ死んで父は今の母親と再婚した.彼女は女優志望で映画にも端役で出たことがあるしニューヨークに暫くいてストリップをしたり写真のモデルをしたりしているが戻ってきたといった話をする.海辺で抱き合うが、

Hosted by Picasa

戻ってからもベッドを重ねる.二人は一心同体でなくてはならない.愛の証明をしなくちゃならないという.何をすればよいかと訊くと、木を植えること、詩を書くこと、同性の相手と寝ること、人を殺すことだという.後の二つは出来ないというと彼女は怒り出す.こんな以下室でぐずぐず暮らしているからそんな現実離れをしたことを考えつくのだ、彼女の身の上話も作り話だというと、彼女は出て行けと服を投げつけ彼はすごすごと出て行く.

Hosted by Picasa

新婚の妹夫婦が来ていた.妹二人はセンタが付き添い衣装を捨てていったと怒っている.母親はセンタと息子の関係を気付いているらしく衣装は私が洗ったから文句を言うなとセンタをかばう.センタは妹の夫の従兄妹であるのでフィリップは彼女のことを尋ねてみた.彼とセンタの母親は腹違いの姉妹で二人ともアイスランド人だという.センタが生まれてその母は死んだが、非道いのは夫が彼女を認知しないのだ.そうした複雑な事情で彼女は変わり者なのだと説明される.フィリップは彼女の話がまんざら嘘ではないと知る.

Hosted by Picasa

上のシーンはキャメラの切り替えで話手をバストショットで撮られていたが、最後に部屋の外からガラス戸越しに全員がキャメラに収まる.

Hosted by Picasa

気になったフィリップは何度もセンタに電話をするが本当に彼女は不在である.彼は彼女が諦められない.

Hosted by Picasa

母が出ようとするところにセンタの方からやってきた.話題になっていた付き添いの衣装を忘れていたので取りに来た.洗って返すというと、母は自分が洗ったのでその必要はないという.だったら、記念にくれないかと貰うことにする.彼は仕事でまた苦情に対してお客を説得する電話をするがその間中彼女が彼の身体を弄り回す.彼は制止して電話をやっと終えると彼女は恐がり、続きは私の部屋でといって二人の縒りは戻る.

Hosted by Picasa

手前に空色の付き添い役の衣装が映ってキャメラが移動すると鏡の中に二人の露骨な性愛シーンが映る.こういう所が実に上手い.

Hosted by Picasa

またの日彼女から食事の誘いがあって彼はびしりと決めて出掛けようとすると母も末の妹も目を見張りからかう.妹から港はホームレスが殺されて人が沢山出ているので通らない方が良いと言われる.

彼はシャトー・ディケムという最高級のワインやフォアグラなど買って更に気になったので新聞を買って港の事件を見ると殺されたホームレスの写真があってそれは彼女の庭にいたホームレスと知る.

Hosted by Picasa

彼女の地下室はろうそくだらけで彼女もドレスで決めている.新聞を見せて君の要求通りにあのホームレスを殺したというと、彼女の歓び様は尋常ではない.奴は叫び声を上げたかどうやって殺したか詳細を訊いてくる.彼はその話はしたくないと話さないが、彼女が疑って訊いているのではなく殺すこと自体が快感でそれを知りたがっていると知るべきであった.

Hosted by Picasa

翌朝目を覚ますと彼女は既に起きていて、今朝四時起きで私も愛の証明でフィリップの母と再婚話のあったジェラールを殺してきたという.用意周到にジェラールの家は割り出してあり毎朝ジョギングするということも調べてあったので待ち伏せしてヴェネチアングラスのナイフで刺し殺した.殺したら飼い犬が死体にクンクンといっていたとさも嬉しそうに話をする.飼い犬という所に引っかかった.これも伏線がある.フィリップ達が始めてジェラールを訪問する時妹が飼い犬を連れて行こうとすると彼は犬は駄目だからと母に止めていたのだ.

Hosted by Picasa

気になってその日の昼フィリップはジェラールの家に行ってみる家の前でうろうろしているところにジェラールが車で戻ってきた.仕事で近くまで来たのでと無事な彼を見て愛想良く話をした.

Hosted by Picasa

彼女の殺したというのは作り話だと大喜びで彼はフローラを彼女へのプレゼントにする.そして上機嫌な彼は彼女に結婚を申し込みこんな地下室はご免だと部屋を探そうというが、この屋敷の三階が空いているからその方が良いと言われ、三階に案内さえる.三階は悪臭を放っていて鼠の死骸でもあるのかという.改装はお手の物である彼は三階が気に入った.併しそこに電話である.出るなと云う彼女を遮って話すと、下の妹が万引で逮捕されたので警察に来いという話である.

Hosted by Picasa

担当刑事(トマ・シャブロル)は他に盗品を沢山持っていて組織に関係しているかを調べているという.刑事は部長に呼ばれて出て行った.

Hosted by Picasa

戻ってくるとこういうショットで部長が話したいと云っていると伝えて、刑事とフィリップは複雑に曲がる通路や部屋を通って部長の部屋に行く.キャメラはその迷路を追っていく.

Hosted by Picasa

部長に今朝緑通りに何しにいったかを尋ねられる.緑通りはジェラールの家のある通りである.朝ではなく昼だと答える.朝というのは鎌を掛けられていた.部長の話すには、ジェラールの従兄弟が二週間の予定で滞在しているが彼は犬には相当手を焼いたらしい.その従兄弟が行方不明というのだが従兄弟は森でヴェエチアングラスのナイフで刺し殺された.犬が死体にまつわりついていた.ジェラールに変わったことはなかったかを訊くと、あなたが来たこと位だという話であった.とヴェエチアングラスのナイフの血の付いた証拠品を示される.

Hosted by Picasa

本気にしていなかった彼女の話は本当であった.しかも間違って人を殺していた.公園のベンチで呆然としている所に死んだはずのホームレスから声を掛けられる.彼は病院に入れられていて死んだ奴は知っているが別の人間だという.フィリップは彼に金を多めにやってあの屋敷には近づくなという.彼はセンタに電話して彼女が殺したのはジェラールではなく別の人間だといって彼女の家に向かう.

Hosted by Picasa

立ち去った後にこれは尾行している刑事だと思ったら、こんな場面でこの男は犬の糞を踏んで滑りそうになり靴を地面にこすりつけて糞の除去をする.可笑しさにあっけにとられた.きっとロケ中にスタッフの一人が同じ事をして急遽入れたのではないか.

Hosted by Picasa

センタの家に着くとキャメラは家に入り地下室への入り口から階段を下りて部屋の中に入って誰もいない様子を映してこの間彼の姿を映さない.実に奇妙な感じのするキャメラワークである.それから彼を捉えて三階へと行くのである.彼女は三階で彼を待ち、ジェラールを殺せなかったことを謝るが愛を証明するために必死だったという.更に告白したいことがあるという.彼に会う前に好きだった男がいるが、彼がいれば相手にしなかったという.それで運ぶのを手伝ってくれという.今母はダンスの大会に行っていないので、森に運んで埋めようと押し入れを開くのである.

Hosted by Picasa

女性の死体がある.この死体が異臭を放っているのである.好きだった男をこの女が横取りしたので彼の声で呼び出し殺したのであると嬉々と語る.この女性こそ冒頭で行方不明になったとテレビが中継した娘なのであろうが、それははっきりとは示されない.

Hosted by Picasa

気も動転した彼は兎に角この場を離れようと地下室に彼女を無理矢理誘うと彼女は私を見捨てないでくれとすがりつく.外で物音がして地下室の硝子窓には夥しい人の足が映る.

Hosted by Picasa

そしてフローラの石像をキャメラは正面から捉えて映画は終わる.

Hosted by Picasa

石像がこの映画を導いていることは解りすぎるほど解るのであるが、全てが図式的に配置されていてその解りやすさがこの映画の欠点なのかと思う.悪い映画ではないが凄い映画ではない.フランス語版の Wikipédia Wikipédia - La Demoiselle d'honneur にはこの石像はヒッチコックのマクガフィンだとあるがそれが露骨すぎる嫌いがある.

top