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ダグラス・サーク「愛する時と死する時」愛は水の流れ

BeauMale
2012.5.22

これまでダグラス・サークの映画は以前に特集があってドイツ時代のは何本か観たが、アメリカ時代のハリウッドのメロドラマはずっと後になって TV から録画した、「心のともしび (1954)」、「天はすべて許し給う (1955)」、「悲しみは空の彼方に (1959)」と観てその素晴らしさに痺れていた.「心のともしび」の冒頭で轟音と共にロック・ハドソンの運転するモーターボートが湖上を疾走して、転覆、救急車、そして蘇生機を医者の元に届けるまでのあのショットは何度観ても一体キャメラはどう撮っているのかが解らない程に素晴らしく、一度ダグラス・サークのことを書いてみたいと思っていたが、どう捉えるのか捕らえどころがない.

偶々 DVD で「風と共に散る(1956)」を買って見て、これも出だしのロバート・スタックが車で疾走して木の葉が飛ぶ強風の中家に帰ると銃声がして、彼が倒れ、ローレン・バコールが倒れ、日めくりのカレンダーが風でめくれていって一年前まで戻った所で画面が一年前のそれと同じカレンダーにローレン・バコールがニューヨークの事務所で何かを書き付けているところ、そして、ロックハドソンが登場するという一気呵成の画面展開に魅了され、これは前に録画してあったのに、畏れ多いダグラス・サークはまだ観るのは早いと観ずにいた「風と共に散る」と同じに、ロック・ハドソン、ロバート・スタック、ドロシー・マローンの三人をもう一度集めて撮ったという「翼に賭ける命(1957)」を観てこの方が「風と共に散る」より面白いと思った.他にもう一枚「愛する時と死する時(1958)」が未だ手元にはある.これも観てしまおうと観たらこの方がもっと面白い.何処がどう面白いかは云いようがない.観た時の気分なのか、話の筋が面白かったのか、どのダグラス・サークの映画も甲乙は着けがたい.

「翼に賭ける命」は原作がウィリアム・フォークナーで、フォークナーの原作ではなく脚本の映画で観ているのはハワード・ホークスの二本「脱出(1944)」、「三つ数えろ(1946)」でこの二本ともハンフリー・ボガード、ローレン・バコールである.もう一本「ピラミッド(1955)」もハワード・ホークスであるがこれは観ていない.そしてこの「愛する時と死する時 A Time to Love and a Time to Die」の原作は エリッヒ・マリア・レマルクで「西部戦線異状なし」の作者でルイス・マイルストンの同名の映画「西部戦線異状なし(1930)」の原作者でもある.レマルクはこの「愛する時と死する時」で教授役で出演もしている.この映画は前作「翼に賭ける命」が白黒であるが横長のシネマスコープであるのと同じにカラーのシネマスコープである.

YouTube - A Time to Love and a Time to Die (1958) 冒頭
YouTube - A Time to Love and a Time to Die (1958) - Trailer 予告編


予備知識無しにこの冒頭を観たら戦争映画なので、かなり戸惑った.1944 年で舞台は独ソ戦のロシアである.この時は既にドイツ軍は退却を始めている.出だしのシーンはロングで左から浅く右前方へと行進するドイツ軍が描かれる.ダグラス・サークは「翼に賭ける命」でもそうであったが、左に重心を置く.検証したわけではないが映画作家は左に重心を置くのが心地がよいのかも知れない.あるいは人間の自然な生理的現象なのかも知れない.道を歩くとき左側の方が多くの人には心地よいと思うがそれなのかも知れない.

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ショットが替わって行軍の先頭が手前に折れ曲がって縦の構図になる.これは横長の画面の一つの対処法なのだろうと思う.行軍の足取りは重くこちらに向かってくるのがキャメラの前を右側に遠のいていくとキャメラは回り込んでその姿を後ろから映す.正面に建物が見える.

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カットされて点呼が始まる.生存者より死亡者が多い.この地で一泊である.

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解散後左から二番目が主人公のエルンスト・グレーバー(ジョン・ギャヴィン)と左端の新兵の男がここには前にも来たことがあると話していると右端のゲシュタポの犬だと云われる男が退却したとでも云うつもりかと文句を言ってくる.もう一人の同僚イマーマン(Jock Mahoney)が言い返して追い散らす.このゲシュタポの犬の男が見分けが付くように茶色っぽい上着を常に着せている.

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既に溶け出している雪の中から人間の手が出ているので新兵は立ちすくむ.少し掘り出してみるとドイツ軍の将校であった.新兵はその雪に埋もれた死体が泣いていると云うがエルンストは凍った眼球が溶け出したのだと云ってやる.

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ロシア人の民間人が数名囚われてゲリラと云うことで処刑と云うことになり彼らは墓穴を掘らされる.

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銃撃に志願するのはゲシュタポの犬と云われた男しかいない.数名が選ばれる.その中には新兵もエルンストも入っている.彼らは民間人の殺害を嫌がっている.処刑の終わった日は皆機嫌が悪く諍いが絶えない.ゲシュタポの犬は褒美だとウオォッカを貰ってくるが皆から嫌がられる.その中エルンストが休暇で隊長に呼ばれる.皆がそれを祝福する.

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隊長の許に行くときエルンストはさっきの新兵が殺した民間人を埋めた盛り土の前で座り込んでいるのに出逢う.そんなことは頭から追い出せと云うがどうやったら追い出せるのだと云われたら言葉もない.

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隊長から正式に三週間の休暇を言い渡され祝いを云われていると銃声がする.二人が驚き外に飛び出すとさっきの新兵が自殺していた.その様子が縦の構図で表される.ゲシュタポの犬が腰抜けが自殺したと云うが隊長は彼の死を事故死と記させる.エルンストにはぐずぐずしていると休暇の取り消しがあるので直ぐに発てと云って彼は戦場を後にする.

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二年ぶりに故郷に帰って懐かしい街を歩き自分の家の方に向かうと、瓦礫の山である.これも縦の構図で表される.ダグラス・サークは妻がユダヤ人であることから亡命してきたデンマーク生まれのドイツ人である.彼のアメリカでの舞台はハリウッドであったがこの映画はベルリンでロケされたようである.戦争から十年以上経っているベルリンにどれほど爆撃の跡が残っていたのか知らないが、何がロケで何がセットであるかが全く解らない.

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毎日のように爆撃があって、自分が両親と共に住んでいた場所は直ぐには解らない.廃墟の中の鏡にこの爺さんが映って前線から戻ったと云うが、前線だと、前線で兵隊が逃げ回っている間にここでは毎日のように爆撃だと云われる.扉が伝言板になって沢山の紙切れが貼ってあるところを見るが何も情報は得られない.翌日から役所を回っても両親の消息は掴めない.

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両親の掛かり付けの医者のことを思い出しその家に行ってみる.口うるさい女に迎えられるが奥から出て来た女性が医者の娘のエリザベートだと気付き声を掛ける.このシーンも縦の構図である.

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彼女はエリザベート(リゼロッテ・プルファー)であった.彼女も彼を同じ学校であったことを思い出す.彼女の父はある日当局に理由も分からないままに連行され、行方不明だという.出迎えた女はナチスの婦人部のお偉方で、彼女も含めて焼け出された何人かがこの家に同居しているが婦人部の女が家を支配し監視している.エリザベートがエルンストを部屋に招いただけではしたないと口騒さく云う.

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エリザベートは彼が父の情報を持っているのだと思ったが違うので帰ってくれと云う.その時空襲警報が鳴って、中々行きたがらない彼女を誘って防空壕に行くが、彼女はやっと見つけた種が生長したパセリに水をやると云って中々動こうとしなかったのである.そんな彼女に彼は好意を抱いている.

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エルンストは防空壕で近所の知り合いの女性がいるのに気付いて両親の行方を訊く.彼女は子供が死にあなたの両親も死んだという.

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彼女の夫が話しかけてきて彼女は子供の死でショックお受け色々云うものだから当局から睨まれている.彼女はここにいないものは自分の子供同様に死んだと思っていると聞かされる.

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エリザベートを家まで送って、休暇祝いに軍から貰った食料の包みを渡そうとすると彼女は怒り出す.兵隊は皆食料と煙草と香水で女を誘うという.その非難に彼の方も怒って何の下心もなく君に食べて貰いたかっただけだといってそのまま別れる.

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二人の様子を柱の陰から見ていた娼婦が近づいて来たので食料は彼女に与えてしまう.

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ここは家のない帰還兵の兵舎である.

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中は皆生き生きと和気藹藹である.エルンストの命は三週間だけだ.その三週間を謳歌しろと云われる.時間を無駄にするなとも云われる.

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街を歩いているとこの男にエルンストと呼び止められる.彼はオスカー・ビンディング(セイヤー・デイヴィッド)でナチの党員で支部長をやっている.エルンストの学校時代の友達である.

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彼は羽振りが良くロシアから帰還だと聞いてお祝いしよう家にはコニャックだって何だってある.昔のよしみで家に来てくれと誘われていく.大きな家に住んでいる.昔赤点を取ったのに、わからんものだ、今じゃ市長に命令しているという.

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ビンディングは彼を退学させた教授を教育委員会の監視をしているとき仕返しに収容所に入れてやった.併し僕は心優しいから数ヶ月で出して今は美術館の辺りに住んでいるとこともなげに話す.彼が風呂に入るとライラックの入浴剤を一瓶入れてくれる.

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その日か翌日扉の張り紙の所に行くと来たときに会った爺さんが、君宛のこういう張り紙があったと渡してくれた.彼はここの張り紙の自主的管理人で貼ってあることは何でも憶えている.渡された伝言はエリザベートからで来てくれと云うものだった.行くと彼女の方から謝ってきた.自分で感情を抑えられなくなるのだという.彼はビンディングの話をして君のお父さんの情報を貰えるかも知れないと云うが、彼女は人殺しは四六時中人を殺しているわけではない.母親を敬う死ペットの死を悲しみもすると云って信用しない.ビンディングから貰ってきたワインの瓶を出してこれは流してしまった方がよいかと訊くと彼女は飲もうという.栓抜きを探している間に彼は軍隊式に開けると瓶の底を叩いていたら瓶は彼の手から滑り出て一階まで落ちて割れてしまった.二人は笑って益々親密になる.こうした会話のやりとりが弾むようで素晴らしい.彼女はライラックの匂いを嗅ぎつけたので二人は散歩に出ることにする.彼の目当ての店は閉まっていたが川辺のボート小屋の近くにライラック(だと思う)の花の咲く木が半分焼けているがもう半分は花を付けている.彼は自分のライラックの香りをばらすが、

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二人はここで初めての口吻をする.川が静かに流れ花の咲く美しいシーンである.花の木が二人よりも手前にあり枝振りがいい.枝が右上にあり左下にあって横長の構図が生きるように工夫されている.

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エルンストは兵舎に戻り、食通でリュウマチに罹っているロイター(Keenan Wynn)に開いている美味しいレストランを教えてくれ.彼女とのデートだという.彼は直ぐさま教えてくれてボーイ長の名前も頼むべきワインの銘柄も教えそれにそんな制服では駄目だといって自分のを貸すという.サイズが違うというと、夜まで時間があるだろう、仕立て直せば良いだけだ、ここには仕立屋もいると云って万事やってくれる.彼女の許を訪れると彼女が二階の窓から顔を出し下にはがみがみがいるからとドレスを二着見せてどちらがよいかを尋ねる、左は直ぐ着られるが右は直すので三十分必要だという.彼は待つ方を選ぶ.この演出も素晴らしい.

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レストランは秘密に営業している、将校や党の幹部の来ている店である.この店のことを教えた兵舎の美食家のロイターの名前で直ぐ入れ、ボーイ長に教わった名前をいってメニューにないワインを頼めば味の分かる男だと直ぐ持ってきてくれる.

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二人は乾杯するのであるが彼が食通であることに満足なボーイ長と彼女を幾分下から撮っている.これも面白い構図である.

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未だワインを飲み始めて前菜のフォアグラにも手を着けていないのに空襲警報である.一同防空壕に入るがレストランの歌手も楽団も一緒で歌手は歌い出す.爆弾の投下でいったん途切れると音を外してご免なさいと云ってまた始めるがその中爆弾が近くに落ちて屋根が崩れだしてパーティーはそれまでで外に避難する.この短いデート考えてみれば食事にさえありつけなかったのに幸せ一杯である.

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彼は彼女に結婚を申し込み市役所に届けを出しに行くが些か悶着がなかったわけではない.彼女の名前を書類に記さないわけにはいかない.併し彼女の父が収容所に連れて行かれたことが解ってただでは済むまいと思われる.併し出て来た役人は彼女の父によって眼を救われたと何事もなく済ませることが出来たのである.結婚がなって普通では手に入らない食料やシャンパンがあのナチの支部長ビンディングから届いていた.そのシャンパンで二人は乾杯する.

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彼は彼女を横抱きにしてベッドに運ぶ.ベッドに降ろすと彼女は手元の明かりを消す.そしてこの演出には驚いた.彼は窓を開けに行くのである.窓を開いて明かりを入れるのである.そんなこと照明でどうにも出来るだろうに真っ暗な部屋に明かりが外から入ってきているように驚く程に丁寧な演出である.

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結婚初夜だと彼女は云い同じ夢の中でドイツ人を嫌わない国籍を問わない愛することだけがパスポートの国に行こうと抱き合い、その先は闇になる.

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翌朝彼は何時もの扉の張り紙を見に来る.

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するとあの爺さんから名前を呼ばれ君に包みが届いていると云われて受け取ると中味は戦地に母親が送った毛の靴下が入っていた.住所は決まり次第知らせると書いてはいないが両親は家が爆撃される前に疎開していたのであった.

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家に戻るとあの婦人部のがみがみ女からこれが届いているゲシュタポからの呼び出し状を彼に渡す.明朝早くの出頭命令である.女は必ず渡せとさぞいい気味だとばかりに彼に言う.彼女が軍需工場に出た後である.

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このことを美術館にいるビンディングが収容所に入れたと云っていた教授に相談に行くが行くところを瓦礫を掘る労働者に見られているので出直すことになる.そこへ昼間からの爆撃である.人に軍需工場を狙っていると云われて心配になり彼は軍需工場に向かう何度も伏せなくてはならない激しい爆撃である.工場は爆撃を受け消防隊がいるので訊くと爆撃前に停電になって従業員は帰したという.

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彼はまた家にとって返すと家も爆撃を受けて燃えている.彼は部屋に駆け込み持ち出せるものは持ち出す.

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他の難民達と呆然と家の前に座っているとエリザベートは戻ってきた.ゲシュタポからの召喚状は彼女には伏せてある.この日は野宿であるが彼女はここでは厭だというので二人は美術館に行く.彼はそこであのナチスの支部長が収容所に数ヶ月入れたという教授にゲシュタポからの召喚状のことを相談したかったのである.

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エルンストは教授に会う.教授はこの映画の原作者ラマルク自身が演じている.またジョセフ(Charles Regnier)というユダヤ人を匿っている.彼はゲシュタポからの召喚状の話をしナチの支部長ビンディングも親しいこと前線で民間人を殺したことまで何もかも二人に話す.ヨゼフはゲシュタポから尋問を受けたら生きて戻れないという.また、ビンディングを信用するなとも云われる.これをしろとは云われないがかれは倫理的問題で教授から強く影響を受けたようである.ヨゼフは彼の隠れている教会にエリザベートは連れてくるように云う.

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結局翌朝彼ナチスの支部長ビンディングの許を訪れるとピアノを美しく弾くナチスの男が先客であった.ピアノが上手くヒットラーを感激させたという男であるが彼はロシアでロシア人にウオッカを飲ませて火を点けると口から火を吐き飛び跳ねるという話や、薪を積んでその上で焼き殺すという残酷な話をさも愉快そうに話すのを見て、呆れるばかりである.廻りには酔いつぶれて寝ている男や半裸の女達がいる.

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ビンディングはああいう話は苦手だ僕は心優しいのだと云い、人の行為は自分の責任ではないと云ってエルンストに民間人を殺したかを尋ねる.殺したという応えに人は皆同じだという.さっきの残忍な男が機嫌が悪いので収容所では血の雨が降ると云うので、焼き殺すのかと訊き返すと死に方などどうでも良い.人は皆死ぬという.エルンストはここは自分のいる場所ではないと悟り出て行く.

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エルンストは妻には告げずにゲシュタポに出頭して妻が仕事に出た後に来たという.彼は書類に著名させられたがそれは受取証であった.煙草の箱に入ってエリザベートの父の遺灰を受け取ったのである.

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エルンストは教会にユダヤ人のヨゼフに経過を知らせにやって来た.このシーン抽象画のようで美しく感じる.エルンストが来るとヨゼフは左の物陰に隠れる.二人は話すと、教授が捕まったという話をする.彼を逃がすため教授が囮になって別の方角に逃げて捕まったのだという.エルンストは彼に我々が憎いかと尋ねると、彼は教授やここの牧師が憎いわけ無いだろうと応える.遺灰はここの墓地に埋めるように云う.

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エリザベートは工場からの帰りに通行止めがあって廻り道したら偶然見つけた下宿屋が営業を今は止めたというのを無理に頼んで入れて貰ったという家に彼を連れて行く.ここの大家の老婆も良い人間で二人の為に色々食料を用意してくれる.

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エルンストは休暇の延長を願い出るが休暇の中止が沢山が出ているというのにお前はギリギリ一杯休暇を使いやがってと延期などお話でなかった.最後の晩に空襲が来たがエリザベートは防空壕に入るのを拒否する.大家はそれを快く認めてくれる.そしてこれが最後の夜になろうとは二人は知らない.

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戦地への出発の朝、送りには来ないでくれと云うエルンストの願いであったが彼女は密かに来ていた.窓格子越しに汽車の方を彼女は眺める.窓の硝子には外の晴れた空が映っている.これも計算尽くの演出であると思うが素晴らしい.

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ダグラス.サークは二人の別れではなく別の別れを挿入する.かなり年配の兵士が窓から妻と息子を見る.

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息子は俯いて顔を上げて父を見られないのを母親が父にさよならを言うように促す.父はそんな姿を見てもう良いから向こうへ行けという.

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そして列車が出発するとさっきエリザベートが見ていた反対側から彼女の後ろ姿と去りゆく汽車が窓格子を通して映される.この一連の別れの場面はセンチメンタルに陥ることなく何とも素敵な撮り方である.

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エルンストは前線に戻って来た.誰の眼にも無意味な帰還である.徒歩で自分の部隊を探すのである.

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最初にイマーマンが彼に気付いてくれた.皆が口々に一体何だって戻って来たのだと云う.三週間前よりもっと状況は悪くなっていて退却するドイツ軍にロシア軍は大砲を浴びせ掛けている.昔戦争に行ったことのある人から聞いた話では飛行機からの爆撃の方が相手が見えるので怖くないが大砲は何時どこから飛んでくるか解らず怖いという話であった.大砲の弾が飛んでくるとその場で伏せるしかない.そんな中川に麦酒の樽が流れているのを発見してイマーマンが自分が取りに行くと川に入って樽を持ち上げたところを直撃弾を受けて殺されてしまう.

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行軍の後はぬかるんだ泥の上に直に倒れ込む.こんなことのためにエルンストは戻らされたのである.そこにオートバイが郵便を運んで来た.ひたすら故国に敗走する軍隊にも郵便は届くのである.普通であれば郵便だと叫べば人が集まるが誰もやってこない.多くの郵便が受取人は死んでいる.

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そんな中エルンストにエリザベートから手紙が来た.

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手紙を読む前に、三人の民間人が武器を持たずに隠れていたのをあのゲシュタポの犬がゲリラだと云って連れて来た.隊長は何処にゲリラの証拠があるかと云って、後で尋問するからと鍵の掛かる納屋に閉じ込め監視することになり、その役はエルンストに命じる.決してゲシュタポの犬にはやらせない.

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閉じ込めた後納屋の壁に寄りかかって彼は手紙を読み始める.奥には川が流れ木には白い花が咲いているように見える.手紙の内容はあの川の畔で書いている.木は心の傷が癒えて蘇っている.そして私達も蘇るとあり、赤ん坊が生まれるとある.大家さんは女の子ならどんな名前でも云い、あなたのご両親の住所が解ったので名前を相談するとあった.川の水と花が呼応している.

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そこにあのゲシュタポの犬がやってきた.撤退だから隊にもどれという.そして納屋の入り口に近づき俺がやるという.何をする、責任者は僕だという.それならお前がやれ、名誉なことだ云うが、彼は名誉ではないという.ゲシュタポ男は命令だぞと云うが彼は関係無い云う.お互いに銃を取りエルンストが相手を殺してしまう.

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そして納屋の戸を開けるが中の三人はどうするつもりか怖がって出ていかない.自由だから行けといっても言葉が通じない.そこで彼はその場を立ち去ると恐る恐る三人は出ていくが一番若い男は殺されたゲシュタポの犬の銃を手にする.

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エルンストは川辺を歩みながら手紙の続きを読み耽る.

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背後から人殺しという声がして振り向くとあの一番若いのが銃口を向けて構えている.銃は発射される.

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エルンストはその場に頽れる.

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何とも悲しい話であるが、こうなることは当初から解る話である.そういう定めであった.それにしてもこの映画は非常にバランスが良くてそれぞれのショットも脚本も素晴らしくてこれぞ本物のメロドラマだという映画である.

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