viva cinema

市川崑の「東京オリンピック」を観た

BeauMale
2014.1.12

昨年の暮れに市川崑の「東京オリンピック XVIII OLYMPIAD TOKYO 1964」を TV で放映していたのを録画して置いたが、この映画面白いはずないだろう、国威高揚のオリンピックなんて嫌いでそんなのは観たくもないと思って中々観ないでいた.オリンピックのドキュメンタリーで見たことのあるのはレニ・リーフェンシュタールの「民族の祭典 Olympia 1938」とクロード・ルルーシュの「白い恋人たち/グルノーブルの13日 (1968)」でルルーシュの映画は好きである.でも市川崑のはとても見られたものではないだろうと録画したくせに観ないでいた.この映画確か最初黒澤明が依頼されたが会場の旗が全部たなびくように扇風機を用意しろという条件が満たされずに蹴ったのだと記憶している.

録画をダビングして DVD にするとき表紙を作るのにスタッフなどを調べたら撮影監督が 宮川一夫 と云う超一流がいると云うのは面白いのかも知れないと思って観出したのである.最初の画面からこの映画は並みの物ではないと思った.


出だしにこの太陽である.オレンジの地にに白い日輪、日の丸のデザインはこれにした方がずっと良いなと思うのが出て来た.

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と思ったら次の画面は建物を壊すときに使う鉄の球でこれがばんばんビルにぶち当たって壊していく.その間ナレーションはずっと、第一回から第十八回までのオリンピックの開催地が告げられていく.言葉と映像の意味が繋がっていないのがとても良い.

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次が競技場.

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その次がオリンポスの巫女達が火を灯す直前に撮されるこの半円のこれは何なのか良く解らない古代ギリシャに関連すると思えるもの.

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更にもう一度日の出の太陽が半分だけ出てくるところまでが黒い背景に浮かんでいる.この円ないし半円の連続はただならぬ物を感じさせる.映画のスクリーンの矩形と云う制限にに対して円というのはそれを打ち破るものである.

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その後聖火リレーが欧米ではなくアジアを東へと進み日本は出だしが沖縄で次が広島の原爆ドームである.と云ったことはまあ良いとして人物が映ったときにああなるほどと思ったキャメラである.非常に顔の大写しが多用されていて七十ミリの画面に映える.

羽田に降り立つ選手達が殆どこのチャスラフスカのように大写しされる.顔の解る選手はいるかなと思っていたらチャスラフスカは直ぐに解った.彼女までは女子の体操選手は大人の女性の身体をしていたのである.

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競技の最初がこの 100 メートルボブ・ヘイズであるがあっという間に駆け抜けて、この映画何故大写しで撮るのかは良く解る.つまりゲームなんて撮したくないのである.誰と誰が競争しているとか誰が勝ったか負けたかといったことではなくて、つまりそういったスポーツとかけ離れたことではなく、躍動する身体そのものを撮りたかったと解るのである.多分後からつけられたのであろうが偶に選手の名前や競技が何であるかが字幕で出ることもあるが勝ち負けの話しなどは殆ど無い.

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この競技はいきなりこの画面で手の上で鉄の球がくるくる回される.砲丸投げという決してメジャーでは無い競技がかなりの時間を使って撮されるのは円であり球体と人が戯れるからである.他の球技と違ってずっしりと重さを持った球体であるからである.

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この二枚はチャスラフスカの平均台の場面.女性の身体の美しさそのものだろう.未だフィルムの時代で照明器具など持ち込めない競技場でどうやってこういう映像が撮れたのかと思う.撮影後に処理したのであろうか?

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この三枚も体操であるが、最初のは床運動で七十ミリの画面にきっちりとこういう姿は収まる.二枚目は、最初ロングショットで撮された鉄棒の大車輪の映像がこのような超アップで映りそれこそ誰がと云うこともどうでも良いことになっている.そして、驚くことに地面に平行な鉄棒が垂直になってここで回転したら最初の床運動同様に全身が撮れる.これも七十ミリという画面の大きさを意識したものである.

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ここまでで映画は半分ぐらいであるがまだまだ面白い画面は幾らでもあって写真を一々挙げてったらきりがないのでもう止める.この映画録画して置いて良かったと思う.スポーツはこの映画のキャメラのように観るものであるという気がする素晴らしい映画である.

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