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テレンス・マリック「シン・レッド・ライン (1998)」

BeauMale
2011.8.27

テレンス・マリックの「シン・レッド・ライン (1998)」は、この二十年前にカナダのバンフーでトリュフォーの撮影監督アルメンドロスのカメラで撮ったある農場で働く季節労働者の話「天国の日々 (1978)」から二十年ぶりに再開した映画活動最初のもので、「天国の日々」は映像の美しい映画であるが、映像が美しくても映画して評価できるのかという典型的なものであった.この、テレンス・マリックと言う監督は、「ハーバード大学やオックスフォード大学で哲学を学び、マサチューセッツ工科大学で教える傍ら、『ニューズウィーク』誌などでジャーナリストとしても働いた。」という経歴の持ち主で、そういう人の映画というのはこう言うのかと思ってしまう.「シン・レッド・ライン」はベルリン国際映画祭金熊賞を受賞作品である.

映画はガダルカナルの戦いを描いたものであるが、戦争映画だという予備知識なしで観たので、出だしは南太平洋の島の美しい風景の中にある村にいるアメリカ人が寡黙に映し出されて時々入るナレーションは物語を語るのではなく登場人物の内的独り言といったものである.で、この映像を見ていると「天国の日々」と余り変わらないじゃないかという印象を受ける.

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その中アメリカ軍の軍艦が現れたら二人のアメリカ人がこの村にはいて二人が脱走兵だということが明かされる.時間を遡ったのか進行したのか次から画面は軍艦の中になって、人物紹介なのであるのか、軍人同士の対話が幾つか出てくるのであるが、筆者は人の顔を覚えるのも粗筋を追うのも苦手で、ただぼうっと観るだけである.顔を知っているのはショーン・ペンだけであるが、キャメラは自在に動いて人物を追う.時々ナレーションとともにアメリカでのその兵士の妻との生活が映し出されて筆者にはそれが煩く感じられる.

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島に上陸用艇で戦闘が無いままに上陸するが、サミュエル・フラーの「最前線物語」のノルマンディー上陸の映像が脳裏をかすめる.この映画の弱さというのはどこにあるのだろうかと思う.日本軍のトーチカのある高地を奪取すべき戦闘がくり広がれキャメラの動きが速くなってすさまじい戦闘が繰り広げられるが、景色は美しい.褒めて言っているのではなくて、こういう生き生きとした画面がそれに阻害されているのではという感じがする.

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この映画正直言って好きにはなれなかった.二時間五十分という長尺映画であるが非道く平板で、リズムが悪いという印象を受けた.

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見終えてから無性に他の映画が観たくなって、まだ見ていなかったイーストウッドの「スペース カウボーイ」を見出したら、非常に心地よくて最初の方を少し観ただけで朝までぐっすり寝てしまった.

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